大炎上フェスの裏側 『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』監督インタビュー

『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』のワンシーン(Photo by Netflix)



―驚くほどたくさんの内部映像がありますが、どうやって入手したんですか?

マット・プロジェクトに連絡したんだ(注:FYRE側に雇われたイベント制作会社)。当時マット側は自分たちでFYREの記録映像を撮り始めていて、(フェス側と仕事してきた)経験上、映像はすべて自分たちで管理していた。彼らが映像を提供してくれたんだ。ジェリー・メディア(FYRE側が雇った宣伝会社)のパートナー企業のひとつがビデオ日記を記録していて、最初の顔合わせの時から撮影していたんだ。フェス会場に向かうまでの珍道中の映像もあったよ。彼ら自身も、自分たちがカモにされているとは知らなかった。フェスにがっちり絡んでいたパートナー企業でさえもね。

―予告映像はホラー映画の様相も呈していましたね。結末は誰もが知るところですが、映画の全体的な雰囲気を作るにあたって、その辺は意識しましたか?

当事者と同じ立ち位置で、情報を処理していくように心がけた。事件後に外部の人間が振り返って、「もちろん、これは後々大変なことになるんですがね」と進めるのは楽だった。だけど、ほころびが見える前、とくに立ち上がりのころは、成功させようという熱意や楽観的な気持ちがあったんだ。でもいざ初めてみると、ほころびが目につき始める。それでもFYREの中心チームは幻想を信じていたんだ。きっと大丈夫、この問題が片付けばすぐに落ち着くさ、って。これは一つのチャレンジだった。「ほらね、こいつは最初からダメになる運命だったんですよ」という作品ではなく、FYREの謳い文句を鵜呑みにして、大勢の人が贋作を売りつけられたんだ、という方向にもっていきたかったんだ。

―事件発覚後のスタッフ会議で、ひとりの人物がビリーの行動をずばり「詐欺」だと責めてましたね。監督もこのシーンをみて、ここが決定的瞬間だなと思いましたか?

そうだね、たしかに決定的瞬間だったと思う。誰かが(映像を)リークしてたんだね。僕が一番面白いと思ったのは、僕はその発言を議事録で読んだんだけど、別に共感も驚きもしなかった。でも、実際に会議の場で耳にしていたら違っただろうね。あの会議がきっかけで事件が明るみになった、ということが一番ショッキングだった。

―ビリーは大勢のスタッフをペテンにかけていたわけですが、イベントの顛末を話すことでスタッフはビリーに仕返ししようとしていたのでしょうか?

それは本人たちに訊いてみないとわからないな。でも僕の印象としては、彼らはビリーに仕返しするつもりはなかったと思う。みんな自分たちのやってきたことがクレイジーだということは承知していたから、自分の経験をぶちまけることでスッキリしたんじゃないかな。気持ちの整理をつけるというかね。どっちみちこういう結末になることは、誰もが気づいていた。それでも、僕がインタビューした人の多くは関わり合うのをためらっていた。何度も説得してやっとカメラに向かって話をしてくれたんだ。彼らが作品を通して、FYREのスタッフだったことを恥じる必要はないんだ、と感じてくれればいいなと思っている。

―彼らも、悪徳商売にかかわってしまったという意識があったんでしょうね。

ああ。特に内部崩壊した当時、FYREと関わっていたと言うことは、すごくネガティブな響きをもっていたから、みんな終わりにしたかったんだ。荒唐無稽なのは重々承知していたけど、それでも話すべきだと感じていた。

Translated by Akiko Kato

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