大炎上フェスの裏側 『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』監督インタビュー

『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』のワンシーン(Photo by Netflix)



―ジャ・ルールについて伺います。彼はフェスの目玉アーティストでしたが、作品には登場していませんね。彼には出演をオファーしたんですか?

彼も十分描かれていると思うよ。僕の関心は、現場で仕事をしていた人たちの視点から描くこと。ジャ・ルールの役割はチアリーダーみたいなものだと思う。内部映像のあとは、彼はほとんど作品には出てこない。証券取引委員会での起訴やらを見る限り、この詐欺の中核にいたのは、ビリーと数名の協力者だと思う。ジャ・ルールは彼らが本物だと信じていたんだ――実際はそうじゃなかったけれどね。彼はアーカイブ映像のなかで十分役目を果たしていると、僕らは判断したんだ。


ジャ・ルールとビリー・マクファーランド(『FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー』より)

―富豪たちが『蠅の王』さながらにいがみ合っていく、というのがソーシャルメディアでおかしなほど話題になりましたね。

このフェスティバルの失敗はTwitterのためにあったようなもの。これ以上の話題は作ろうと思ってもできない。時代の最先端に走る人々を羨む側にとっては、フェスティバルの失敗は最高のエンターテインメントだった。フェスティバルの失敗はそれだけで済むことだけど、でも実際はいろんな側面があったんだ。

―制作中に最も驚いたことはなんでしたか?

もっとも驚いたことか――それほど驚くことでもないんだけど――でも、こんなに多くの人がFYREに絡んでいたってことかな。バカな奴らが集まって、音楽フェスをでっち上げたと思いがちだけど、でも実際に関係者に話を聞いていくと、みんなとても誠実で、堅実で、知性があって、勤勉で、良識のある思慮深い人なんだ。彼らは最善の力を尽くして、大惨事が現実のものとなるのを必死に食い止めていたんだよ。

―このフェスティバルは、我々の文化、ソーシャルメディアが実際の経験を左右する文化について、何を教えてくれるのでしょう?

人々は自分たちの周りの世界を見て、そこからたくさんの情報を得る。FYREはいわば、最高のライフスタイルを見せる商品だった。そして、「絶対見逃すわけにはいかない」という焦燥感を煽ったんだ。Instagramで人々がうらやむライフスタイルさ。マーケティング的には実によくできていると思うし、そういう意味では成功したと思う。彼らは自分たちが一番得意とすること、つまり看板をよく見せることに注力した。だけど、看板の裏は空っぽだった。ひとたび現実が入り込むと、歯車がかみ合わなくなっていくのに気づいたんだ。

Translated by Akiko Kato

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