LiSAが語るブリング・ミー・ザ・ホライズン「音楽への尊敬とパンク精神」

―それでいて人気を拡大させていくっていうのが凄まじいですよね。

ヒップホップ的な要素だったりブリング・ミーにしかできないサウンドの変化があったり、デジタルな部分が多くなってるけど、入口はちゃんとバンドサウンドにしてくれてるんですよね。いろいろ挑戦しつつも、「お前らのことを置いていかないよ」っていうメッセージを最初に示してくれてる。だからファンが付いていくんだろうなって思います。







―大胆に変化しているのに、ファンを突き放さないバランスが絶妙ですよね。こういう進化って多くのアーティストの理想だと思います。

内臓が出てるアルバム(『Suicide Season』)からするとびっくりするぐらい変わってるけど、前作と比べると180度変わったことをやっているわけではないですからね。

―ご自身に置き換えると、ここまでの変化は怖いですよね。

すごく怖いですね。その“怖い”の意味は、さっき言ったように「みんなを置いていったらどうしよう」っていうのもあるし、そのサウンドが果たしてそこのフィールドにいる人たちに敵うものなのかっていう怖さがあります。

―LiSAさんはデビュー当時からロック一本で来ていますが、次第にサウンドを重く激しくしていくという選択をしました。どうしてそうなっていったんでしょうか?

元々、私は怒りをあらわにするタイプの音楽のほうが好きで。最初はアニメを通じてのデビューだったんですけど、アニメ好きの人たちのなかにもメタルみたいな激しい音楽が好きな人がいるっていうことを知って、自分のファンにも私が好きな音楽を楽しんでもらえるんじゃないかと思って、そこからどんどん自分の好きな要素を入れていくようになりました。ブリング・ミーは時代に合わせて好きなものを取り入れていると思うんですけど、私は過去に好きだったものを引っ張ってきて、ようやくここまでたどり着いたっていう感じです。

―時を経るごとにより自分になっていったと。アニメ好きにメタルリスナーが多いのはなぜだと思いますか?

アニソンのなかでも激しい音楽のなかにデジタルを取り入れたり、弦を入れることで新しいアニメソングの形を提示した方達もいて、激しくて速い曲が多いですよね。

―確かに。そう考えると、今までメタルを聴いたことのないアニメファンも試しに聴いてみたらハマる可能性はありますね。LiSAさんの新曲「ADAMAS」は、歌詞を読んでみるとLiSAさんの新たな初期衝動を感じると言うか、ここからまた攻めるぞという力強さが溢れているように感じました。

やっぱり、周りがどうこうっていうことじゃなくて、自分自身がカッコいいと思うことを貫いていくのがミュージシャンのあるべき姿なのかなと。人に潰されてたまるか、そんなことで私たちが作ってきた世界は崩れない、という意思表示がしたかったんです。

―ブリング・ミーみたいに変化していくカッコよさもあるし、ラモーンズやAC/DCのようにひとつの姿勢を貫くカッコよさもあって、LiSAさんが選んだのは後者だったんですね。

でも、私は石橋をとことん叩いて渡るタイプなんですけど、絶対にこれだったらカッコいいって思えるものを見つけられたらそっちに行くかもしれない。私はまだこれまで作ってきたもの以外に「これだ」と思えるものに出会えていないんです。あと、私はファンの人と一緒に歳を重ねていくのが理想なので、今の音楽をやり続けるというよりは、ファンとずっと一緒に遊んでいられる音楽、みんなと寄り添っていける音楽を素直に作れたらいいなと思ってます。私は自分の歌詞や音楽に自分自身の“今”を注ぎ込むし、その時の自分の思いをリアルに言葉にしているので、自分と同じぐらいの年齢の方に届いたらいいなと思いながらこれからも曲を作っていくんだと思います。

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