SoundCloudが年間売上1億ドルを達成、クリエイターと感度の高い若年層を囲い込む

ベルリン発のストリーミングサービス会社SoundCloud(Photo by Igor Golovniov/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

SoundCloudの最新決算報告書が公開され、2017年の売上高は前年比のほぼ2倍、1億ドル(約108億円)を突破した。

数々の若いラッパーたちを輩出し、独自の音楽ジャンルを生み出したベルリン発のストリーミングサービス会社SoundCloud。最新の決算報告書によると、同社は2016年から2017年にかけて全世界で売上を伸ばし、前年比80%以上の増収となった。同社はここ最近、財政混乱に見舞われていた。

同社の2017年度の決算書は、先日イギリス企業登記局に提出された。Music Business Worldwideの調べによると、同年の年間売上高は前年の5030万ポンド(5780万ドル)を上回り、9070万ポンド(1億200万ドル)以上。会員収入は89%増だったのに対し、広告収入は53%程度の伸びにとどまった。また、年間営業損失は27%の減少を達成した。この数字から、SoundCloudの業績が2017年の夏ごろから転換したことがうかがえる。この時期同社は複数のオフィスを閉鎖し、173名のリストラで従業員数を半分近く削減。完全に閉鎖するのでは、との噂も流れた。

だが同じ年の後半、SoundCloudは旧Vimeoの重役ケリー・トレイノー氏をCEOに迎えたのに伴い、新たに1億7000万ドルの資金を調達し、組織改編に積極的に乗り出した。これがさらなる安定基盤の確立に寄与したものとみられる。2017年度の決算書を見ると、SoundCloudは「財政状況を改善するべく思い切った措置」に乗り出し、著作権所有者とのライセンス契約の見直しや、未償還責務の弁済、重たる営業支出の削減などで、2018年に営業キャッシュフローをプラスに転じることに成功した。

2018年の業績結果は年内後半まで待たねばならないが、SoundCloud曰く、2018年の成長計画は達成済み。今後も引き続き、2つの主要目標に注力していくという。すなわち、使い勝手のいいアーティストツールセットによるクリエイター部門の業務拡大と、「トレンドを担う、世界中の若い音楽ファン」に向けた独自の音楽視聴体験の提案だ。後者は、SpotifyやApple Musicなどストリーミング大手他社がマーケットのけん引役として地位を確立する中、ますます競争は厳しくなるだろう。一方前者は「音楽制作への注力」においては、いまなおSoundCloudが牙城を維持している。

Translated by Akiko Kato

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