ブリング・ミー・ザ・ホライズン、進化の背景にあるもの「アプローチは二の次」

ロックバンドというしばりはもはや関係なく、自分たちにとって正しいと思える音を作りたかったという姿勢は、例えば「nihilist blues feat. Grimes | ニヒリスト・ブルース feat. グライムス」という曲にも表れている。自分たちが好きだった’90年代のハウス・ミュージック、レイヴから影響を受けたというこの曲では、グライムスという非常にアーティスティックな女性アーティストをゲストに招いている。一方で、エレクトロニックとは真逆の伝統的な楽器、例えば弦楽器や管楽器を入れたり、オーケストラを使ったり、クワイヤを入れたりしながら、繊細な音のレイヤー作りもしている。



もちろん彼らならではのロックが炸裂する曲だってあるし、ヒット曲だってある。「MANTRA | マントラ」はもちろんのこと、クレイドル・オブ・フィルスのダニ・フィルスをゲストに迎えた「wonderful life feat. Dani Filth | ワンダフル・ライフ feat. ダニ・フィルス 」もそうだ。ちなみにこの曲は元々リンプ・ビズキットのために行った曲作りのセッションから生まれたリフを元にしているという。ゲストで言えば、「heavy metal feat. Rahzel | ヘヴィー・メタル feat. ラゼール」で元ザ・ルーツのMCでヒューマンビートボクサーのラゼールが参加しているのも面白い。こういったゲストを選ぶセンスにしても、そこには異なる音楽やアイデアをミックスすることによって、新しい音楽を打ち出し、カッコ良くて意味のあるものを表現したいという創作意欲が見てとれるのだ。

そして、アルバム全体を通したテーマは「愛」なのだ。アルバム・タイトルの『amo』は、ポルトガル語で「愛している」という意味を持つ言葉であり、オリヴァーの2年前の離婚というパーソナルな経験からインスピレーションを得たものだという。

「離婚についてはあまり語りたくはなかったんだ。それでもしばらくすると、自分自身を見つめ直して、この問題にちゃんと向き合えるようになりたいと思ったんだ。離婚というトラウマ的なことを経験してしまうと、精神的に重荷を背負ってしまう部分もあってね。僕がラッキーなのは、音楽があったからそういう状況から抜け出すことができたことだ。愛には良いこともあれば、悪いこともあるし、奇妙なことだってある。愛は僕自身に影響を与えるし、相手にだって影響を与えるし、周りの人たちにも影響を与える。そこにはもはや怒りはなく、ちゃんと向き合って、乗り越えて、精神的に荷を下ろす感じだったんだ」(オリヴァー)

ロックがヒップホップに押さていれる今の時代、ロックバンドはどう時代と向き合った音楽を打ち出していくのか。『amo | アモ』はそれに対する一つの答えなのかもしれない。


『amo | アモ』
ブリング・ミー・ザ・ホライズン
ソニーミュージック・インターナショナル
発売中
※初回仕様のみロゴステッカー封入/歌詞対訳付き

収録曲
01. i apologise if you feel something | アイ・アポロジャイズ・イフ・ユー・フィール・サムシング
02. MANTRA | マントラ03. nihilist blues feat. Grimes | ニヒリスト・ブルース feat. グライムス04. in the dark | イン・ザ・ダーク
05. wonderful life feat. Dani Filth | ワンダフル・ライフ feat. ダニ・フィルス 06. ouch | アウチ07. medicine | メディスン08. sugar honey ice & tea | シュガー・ハニー・アイス&ティー
09. why you gotta kick me when i’m dow? | ホワイ・ユー・ガッタ・キック・ミー・ホエン・アイム・ダウン?
10. fresh bruises |フレッシュ・ブルーゼズ11. mother tongue | マザー・タング12. heavy metal feat. Rahzel | ヘヴィー・メタル feat. ラゼール
13. i don’t know what to say | アイ・ドント・ノウ・ホワット・トゥ・セイ
http://www.sonymusic.co.jp/artist/bringmethehorizon/

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