エディ・ヴァン・ヘイレン、超絶ギターソロ・ベスト20

マイケル・ジャクソン「今夜はビート・イット(Beat It)」1982年

マイケル・ジャクソンの大ヒット・アルバム『スリラー(原題:Thriller)』では、主にTOTOのスティーヴ・ルカサーがギタリストを務めたが、『今夜はビート・イット』のギターソロに関しては、プロデューサーのクインシー・ジョーンズの頭にはひとりしか浮かんでいなかった。エディ・ヴァン・ヘイレンだ。レコーディングセッションのためにエディがスタジオ入りした時、ジャクソンは別のスタジオで作業していた。エディのギターソロを聴いたジョーンズは、曲をアレンジし直そうと決めた。「セカンドテイクを録り終えたところでマイケルが入ってきたんだ」とエディは、2012年にCNNのインタヴューで振り返っている。「“曲を台無しにした”とボディガードに僕を叩き出させるか、それとも気に入ってくれるか、いったいどちらだろう、という思いが頭をよぎった」という。ギターソロを聴いたジャクソンはエディの方を向き、「ワォ、わざわざ来てくれてギターソロを弾いてくれただけでなく、歌も素晴らしくしてくれて本当にありがとう」と感謝の言葉を述べた。ユニークな組み合わせが、両者それぞれに素晴らしい結果をもたらすこととなった。マイケル・ジャクソンはナンバー1ヒットを獲得し、ヘヴィメタル・ヒーローだったエディ・ヴァン・ヘイレンは、正真正銘のロックスターの座を手に入れたのだ。(T.B.)

「プッシュ・カムズ・トゥ・シャヴ(Push Comes to Shove)」1982年

「“レゲエ風にしてみよう”という(デイヴィッド・リー)ロスのアイディアからできた曲だ」とエディは1996年、ギターワールド誌のインタヴューでビリー・コーガンに語っている。チャート上は大差で敗北したものの、素晴らしい楽曲であることは間違いない。全体的に抑えたヴォーカル、うねるディスコ調のベース、軽快にダークな雰囲気を醸し出すギター。クライマックスはもちろん、エディのギターソロだ。曲の他の部分同様ギターソロもレゲエの要素を全く無視し、アル・ディ・メオラ風のスムーズなランとアラン・ホールズワース風のなめらかなラインとロングノートをミックスしたジャズ=フュージョン的アプローチで挑んだ。同ギターソロは間違いなくエディの自信作だったようで、「この曲のギターソロは信じられないほど素晴らしい! 僕は絶対に忘れないだろう」とインタヴューで語っている。

「大聖堂(Cathedral)」1982年

ヴァン・ヘイレンにとってアルバム『ダイヴァー・ダウン(原題:Diver Down)』は、アーティストとしてのクライマックスとは言えない作品だった。1982年にリリースされた30分間の同アルバムには、酔っぱらいのアカペラ・バージョンで歌ったデイル・エヴァンスの『ハッピー・トレイルズ』を含む5曲ものカヴァー曲が収録され、正に突貫工事的に仕上げられた。それでもヴァン・ヘイレンの至宝とも言うべき楽曲もあり、その内の1曲がエディ・ヴァン・ヘイレンによる最も素晴らしいインストゥルメンタル曲『大聖堂』だ。透明感のある鼓動を表現するため、エディは年代物のFender Stratocasterをエコーユニットへ接続し、洞窟内の礼拝堂から聴こえてくるような印象深く脈打つオルガントーンを実現した。『大聖堂』というタイトルを付けた経緯について、デイヴィッド・リー・ロスは1982年、クリーム誌とのインタヴューで嬉しそうに語っている。「エディがスタジオでこの曲を披露した時、俺は“バッハのオルガン曲みたいだな”と言ったんだ。エディは“バッハって誰?”って感じだったけど、“気にするな。とにかく教会っぽいタイトルが合うから”とエディには言ったのさ。」(T.B.)

Translated by Smokva Tokyo

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