DEAN FUJIOKAが探求する音楽の世界

ーDEANさんの多様性の根っこにあるルーツっていうのはどこから来るものだと思いますか?

幼い頃にTVを通して聴いた日本の歌謡曲の良さも知ってますし、中華圏で先輩達に教わったマンダリン・ポップスの素晴らしさも知っている。バンド活動をしていた時はヘヴィメタル、オルタナティヴ・ロック、ジャズを演奏していたし、クラブに行くようになってからは、ヒップホップやテクノのイベントをハシゴするようにもなった。音楽がとにかく好きなんですよね。あとは曲のコンセプトに合う音楽を常に探してるというか。

例えば「Echo」(DEANが主演したフジテレビ系 木曜劇場「モンテ・クリスト伯-華麗なる復讐-」の主題歌に使用された曲)の場合、元々は英語の曲を作ろうとは思ってなかったんです。『モンテ・クリスト伯』の壮絶な人生を描く中で、どうしても暗黒の重さみたいなのが必要だったので、主題歌を作る際に自分の中で考えたレシピは、ビートはトラップっぽい感じで、ベースはルーツっぽいダブステップ、上物はグライムとかウィッチハウスとか少し不気味な感じのネタで……というものだったんです。そして行き着いたのがヴェイパーウェイヴだったと。そう考えると、特定のジャンルにこだわって「これが自分の生き様だ!」みたいな感じでやるのは、僕の中には良くも悪くも無いかもしれないです。



ー音楽への好奇心は子どもの頃からあったんですか? 「この音はどうやって鳴ってるんだろう?」みたいな。

そうですね。音楽がずっと鳴っている家庭だったから、幼少の時に聴いて印象に残ってるビートや和音の感じっていうのは、自分の中に影響として残ってると思います。父親が仕事の出張に行った帰りに海外でアメリカのCDやテープを買ってきてくれたり、そういうのも今考えるとすごくいい影響だったと思うし、母親がピアノの先生だったので家でずっとピアノの音が鳴ってたり。ジャンル、国境、言語とか関係なく、それらのことが自分の原体験だと思います。

ー例えば、DEANさんにとっての音楽のヒーローって誰かいるんですか? 絶対的なリスペクトを持っている人。

たくさんいる気もするし、いない気もします。人が作る「音楽」への興味はすごくあるのかもしれないけど、作っている「人」に対しての興味はあまりないのかもしれない。自分で音楽を生み出すようになると、「このインスピレーションはあそこから来てるんだな」とか分かるじゃないですか。そういう時に生まれてくる感謝の念やリスペクトは大事にしつつ、憧れは憧れとして自分の中に取っておきたいというのはあります。僕が人生で一番リピートして聴いたアルバムは、たぶんディアンジェロの『Voodoo』だと思うんですけど、だからといってディアンジェロに会いたいとかそういうのとは違うんですよね。



ーなるほど。

技術の変化と共に生まれる音楽のジャンルだったり、サウンドの変化みたいなものはすごく意識してますし、いろんなものを聴いてます。その中で新しい音楽との関わり方を見つけるというか。Ableton Live(DAWのソフトウェア)のウェブサイトにアップされている短いチュートリアルの動画とかチェックしてると楽しいんですよね。今回のアルバムのミックスをしているときにエンジニアのD.O.I.さんから技術的な話をいろいろ教えてもらったんですが、そういう部分での好奇心は自分の中にあると思います。

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