「業界の外」から音楽業界の流れを変える、知っておくべき世界の実力者トップ5

1)レン・ブラバトニック(Access Industries社オーナー)

ワーナー・ミュージック・グループ(WMG)は世界第3位のレコード会社ワーナーミュージックと、世界第3位の音楽出版会社ワーナー・チャペルの親会社。WMGに所属するアーティストには、エド・シーラン、ブルーノ・マーズ、カーディ・B、21サヴェージなどがいる。

ワーナーの音楽制作部門のボスであるマックス・ロウサダ氏と、新たにワーナー・チャペルの経営陣に抜擢されたガイ・ムート氏、キャリアンヌ・マーシャル氏の直属の上司は、親会社ワーナー・ミュージック・グループのCEOスティーヴ・クーパー氏。ではクーパー氏の場合は?彼のボスは、アメリカの長者番付27位の大富豪、Access Indsutries社の創業者レン・ブラバトニック氏だ。

Access社は当初ロシア関連の投資に重点を置いていたが、やがて不動産や天然資源、メディアや通信会社方面への投資で富を築いた。2011年、ブラバトニック氏は33億ドルを投じてワーナーミュージック・グループを買収。続く2013年には、Parlophoneを4億8700万ポンド(7億6000万ドル相当)で買収した。いずれも、ポストNapster時代を迎えて音楽業界が低迷していたさなかの出来事で、こうした動きを疑問視する声もあった。だが、勝利を手にしたのはブラバトニック氏だった。ワーナーミュージック・グループはまたもや記録的な黒字決算、しかも創業以来初の売上高40億ドルを突破した。

最近、WMGは買収にも力を入れており、オランダに拠点を置くダンスレーベルSpinnin’ Records(買収額は1億ドル強)、絶大な人気を誇るオンラインメディア・ハブUPROXX社、ドイツに拠点を置く商品開発・ネット通販会社の大手EMP社(1億8000万ドル前後)を買収した。

契約にこぎつけたのはワーナーかもしれないが、実際に小切手を切っているのはレン・ブラバトニック氏だ。

ワーナー以外でも、音楽業界におけるAccess社の影響力は計り知れない。イギリスの有力者サラ・ステネット女史率いるタレントマネージメント会社First Access Entertainment社を共同所有し、リタ・オラやビービー・レクサといったタレントを抱えている。さらに、ストリーミング会社Deezer社の支配株主であるほか、同社のベンチャー部門ATVは、アリババやFacebook、Spotify、Amazon、騰訊音楽娯楽集団(テンセント・ミュージック・エンターテインメント)、Beats By Dreなどの株式を所有している。

Translated by Akiko Kato

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