LOW IQ 01が語る、バンド時代とソロ20年の歩み

Rolling Stone Japan vol.05掲載/Coffee & Cigarettes 09 | LOW IQ 01(Photo = Shuya Nakano)

音楽、文芸、映画。長年にわたって芸術の分野で表現し続ける者たち。本業も趣味も自分流のスタイルで楽しむ、そんな彼らの「大人のこだわり」にフォーカスしたRolling Stone Japanの連載。1990年代末のAIR JAM周辺のシーンのなかで突出したスキルとセンスを持っていたプレイヤーがLOW IQ 01だ。SUPER STUPIDでのベースプレイとヴォーカルに限らず、ソロ活動ではギターをメインに多彩なアプローチを展開。彼の音楽に詰まっている「こだわり」は今もピュアで輝いている。

Coffee & Cigarettes 09 | LOW IQ 01

取材を行ったのは東京・四谷にある昭和感満載の純喫茶。取材前、パンクスと純喫茶って似合うのかなと思っていたが杞憂に終わった。ライブでは激しくパフォーマンスを見せる“イッチャン”ことLOW IQ 01だが、不思議なほど純喫茶が似合う。

喫茶店のうれしいところは喫煙がOKなことだ。イッチャンも珈琲とタバコを片手にインタビューに臨んでくれた。

2018年のイッチャンの活躍は素晴らしかった。気さくでムードメーカーであるイッチャンは若手からベテランまで幅広い世代のミュージシャンに慕われ、フェスやイベントを盛り上げた。そして、イッチャンのライブが今とにかく素晴らしい。本人も今年1年を振り返りながらこんなふうに語ってくれた。

「2017年はアルバムをリリースして忙しかった。2018年はリリースがないからのんびり出来るかと思っていたけど、ライブがたくさん出来て忙しかったね。ツアーも回ったし、9月頃は毎週末イベントやフェスだったから。ミュージシャン冥利に尽きるよ。で、今さらなんだけど、ようやくライブ慣れしてきたの(笑)。だって、昔は月に1本とかしかライブをやってなかったから。やっぱり楽しいよね。練習も大事だけど、本番が大事だなって」と、本人も長いキャリアの中でライブへの手応えを一番感じているようだ。

昭和感漂う喫茶店のノスタルジックな雰囲気に促されてか、話はイッチャンが音楽を始めた頃のことに及んだ。

シーンの中で、ベース・ヴォーカルとして確固たる地位を築いているイッチャンがベースに目覚めたのは中学生のときで、きっかけはセックス・ピストルズのヒストリー映画『ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル』だという。そして14歳のとき、早くも地元の祐天寺でステージに立つ。もはやその時点でプロ志向だったということか。

「もちろん音楽で有名になれればいいなとは思っていたけど、プロ志向ではなかったかなぁ。周りのみんながスポーツやゲームに夢中になっていたように、自分はロックやベースに夢中になっていた感じ。でもベースを手にしたとき、“自分の武器”を手に入れた気持ちになったね。だからプライドはすごくあった。80年代初頭の中学生だと、エレキ・ベースやエレキ・ギターを弾くヤツもぜんぜんいなくて、『ベース弾けるんだ! すごい!』って言われたくて必死だった」 と、タバコを燻らせながら語ってくれた。

ロケ地協力:珈琲ロン

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE