スーパー・ササダンゴ・マシンもまた、坂井の「1作品」─ファンから見れば、坂井選手はテレビでもお馴染みの立派な一流レスラーだと思いますけど。マッスルだって、両国国技館大会を開催するまでの規模に成長したわけですし。何をおっしゃいますやら。私のプロレスのギャラ、1試合いくらだか教えましょうか?? ひろく公表したいですよ、マジで!
ーいや、遠慮しておきます(汗)。『Number』誌のプロレス総選挙にもランクインできませんでしたし。その点でいえば、今回の両国に込める感情は「怒」ですよね。大人だから人前では言いませんけど。ぶっちゃけ、サクセスしたいんです。マッスル坂井、そしてマッスルのメンバー全員で。業界の頂点に君臨したいとは言いませんが、プロレスと聞いてせめて2番目、3番目くらいに「マッスル」の名前が出てくるくらいまでには。再始動させたからには、意地でもそこまで持っていきたいと思っていますよ。
(C)株式会社DDTプロレスリング─お茶の間でも知られるようになったSSMという存在として、ある程度のサクセスをしていても、やはりマッスル坂井本体、そしてマッスルという興行にはこだわっていきたいと?だから、私のテレビのギャラいくらだか教えましょうか??
─いや、それも遠慮しておきます(汗)。SSMは別人格というよりも、マッスル坂井が企画運営している、いわばひとつの作品なんですよね。たまたまメディアの露出はSSMが増えてますけど、基本的にはマッスル坂井の活動の一環なんです。
両国で目指すのは、プロレスを通じた「社会実験」─現時点でマッスル興行にSSMの参戦予定はありませんが(17日のDDT両国国技館大会には出場)、なんというか両者の“使い分け”ってどのようになっているんでしょう。基本的に、やってることは一緒ですね。SSMの場合は、1試合を単位の表現をしているけど、マッスルは数試合から構成されるひとつの興行全体を使った表現をしている、というだけで。SSMが出場するDDTプロレスの興行が吉本興業における「ルミネtheよしもと」だとすれば、マッスルはマッスル坂井の単独ライブみたいなもの、とお考えいただければよいかと。
ーでは、坂井選手が今回のマッスルという“単独ライブ”を通じて表現したいことは? ヒントとして「俺たちのセカンドキャリア」というサブタイトルがありますが。何を表現したいか、についてはうまく言えないんですけど、できれば私たちと同世代の方々に観ていただきたいという想いはありますよね。だって楽しくないでしょ、生きてても。テレビを観ていても演者含め、大半が自分より年下向けの内容になっているわけだし。
─うわ、重たいですね。先ほど喜怒哀楽の話がありましたけど、私たちがマッスルで表現したいのは結局のところ純粋な「楽」なんですよ。皆さんと同世代のオジサンたちが、両国国技館なんて場違いな会場でわりと真剣に面白いことをやろうとしているところを、観ていただきたいなという。自分自身も、会場の大きさに惑わされず、面白いと思うことだけをやりたいし。興行が終わった帰り道に、楽しかったなと思ってもらえれば、それで十分なんです。
─坂井選手が、今回のマッスルに賭ける真摯な想いが伝わります。まぁ、そういう発言で少しでも評価を高めて、サクセスにつなげていきたいっていうスケベ心も当然ありますけどね。“プロレス”である以上やはり“闘い”ですし、闘う以上は勝ちたいですから。腕っぷしは他の選手に叶わなくても、我々はエンターテインメントでプロレス界のヒエラルキーを覆していきたいなと。
Photo by Takuro Ueno─このインタビューをしている1月末時点では、参戦選手のほか山里亮太さんやライムスターの宇多丸さんといったゲストは発表されているものの、対戦カードについてはひとつも出ていませんよね。おそらく、対戦カードは当日まで出さないでしょうね。両国国技館で興行するのに、事前に内容を明かさないなんて馬鹿げているにも程があるとは思いますけど。
─過去のマッスルもそうでしたが、ネタバレ的に言ってしまえば、それだけギリギリまで内容を詰めていきたいという気持ちの表れでもあるんでしょうね。いや、土壇場になるまで本気が出せない性分なんです(笑)。まぁ今回の興行については、両国国技館という大会場を使い、プロレスを通した一種の社会実験を行う予定、とでも書いておいてくださいよ……。
……核心に触れる瞬間があったかと思えば、巧みに体をかわし再び霧中に隠れてしまう。マッスル坂井が放つ言葉こそ、まさに“プロレス”的なのかもしれない、と思わせるインタビューだった。1万人規模の会場で開催される「マッスル」が果たしてどのような興行になるのか、それは坂井自身にもわからないことなのだろう……って、それで本当に大丈夫なのだろうか?マッスルマニア 2019 in 両国~俺たちのセカンドキャリア~
2019年2月16日(土)東京・両国国技館
開場16:00 開始17:00
【参戦決定選手】
マッスル坂井、男色ディーノ、アントーニオ本多、ペドロ高石、趙雲子龍、ヤス・ウラノ、大石真翔、大家健、藤岡典一、鶴見亜門、アンドレザ・ジャイアントパンダ
【出演決定ゲスト】
山里亮太、クロちゃん、純烈、宇多丸(乾杯のご発声こと開会宣言)
【決定対戦カード】
○ペドロ高石引退試合
※対戦カード未定。
【大会公式サイト】
http://sports.geocities.jp/ddtpro_peter/index.html【DDTプロレスリング公式サイト】
https://www.ddtpro.com/