mouse on the keys、北米ツアーからの歩みと現在地 新曲「Circle」に込めた意思

mouse on the keys



このコミュニティ感って、昭和と平成を通過したハイブリッドだと思うんですよね。(川﨑)

-2月13日には配信シングル「Circle」がリリースされます。第一印象としては、ギターの存在が際立っていて、『tres』にも元envyの飛田雅弘さんが参加されていましたし、その延長という言い方もできるかなと思ったのですが、実際どんな狙いを持って作られた曲なのでしょうか?

川﨑:『tres』は自分たちにとって「新章突入」みたいなイメージだったんですよね。『the flowers of romance』から『Out of Body』で徐々に拡張してきて、『tres』で一気にバーッと広がった。CHONのMarioくんがギターを速弾きしたり、Dominiqueのボーカルがあったり、アイルランドのM’ANAMってコーラスグループが参加してたり、すごく自由度が高くなって、クジラのようになんでもガブガブ食う感じの始まりだったと捉えていて。今回ギターが入ってるのは、おっしゃる通り延長線ではあるんだけど、クジラが飲み込んだ一つって感じですね。今ちょうどNHKの劇伴をやっていて(3月23日(土)[総合]後9:00に放送されるNHKスペシャル『詐欺の子』)、そっちはもっとピアノ主体の硬質でアンビエントな感じになると思うんですけど、僕らはもはやサイボーグのように、ガチャガチャといろんなガジェットをハメるみたいな感じになっていくと思います。

mouse on the keys / Circle teaser


-ギターもあくまでその中の一要素だと。

川﨑:そうですね。クジラ感はこれからどんどん出てくると思うんで、「マウスがギターロックになっちゃった」ってことではなくて、それこそサークルのように、全部を囲う感じになってきてると思うから、今回そこを打ち出した感じですね。

-実際に、「Circle」はただギターが目立っているわけではもちろんなくて、シンセやピアノとレイヤーを作り出しているし、これまでのマウスの良さを引き継ぎつつ、よりいろんな音楽性が凝縮されている印象です。

川﨑:飛田くんのギターの不協和音な感じはジャンク/ポストハードコア的な要素だし、今回実はもうひとり加茂ユウリくんがギターで参加していて、彼が弾いたエンディングあたりのシンセギターはパット・メセニーみたいな感じです。ドラムにはNINE DAYS WONDER的なドラムフレーズも入ってますし(笑)。これを一緒くたにできるのかって感じですけど、なんせクジラなんで、やってみた感じですね。今思えば、アメリカツアーの影響も無意識的に受けてたのかもしれない。Tera Melosのパンク/ハードコア的なビートがいいなって思ってたんですよ。じゃあ、これもガブッといっちゃおうっていう。最近Helmetとかも聴いてたし、Today Is The Dayとか、90年代のジャンク/オルタナを自分なりにもう一度見直して、入れてみた感じです。


モントリオール公演の様子


シェルブルック公演の様子

-その意味では、「Circle」というタイトルを「音楽性が一周した」と捉えることもできそうですが、実際このタイトルはどんな意図でつけられたのでしょうか?

川﨑:タイトルは僕の勝手な思いでつけたんですけど、このメンバーと長くやってきて、この繋がりがやっぱり大事ってことなんですよ。バンドは僕にとってコミュニティだと思ったんです。親父が11人兄弟の末っ子で、正月になると町内会の人も集まって餅つき大会をやるような、いかにも昭和な感じのコミュニティが父方の実家にはあったんですけど、今はもうみんなそれぞれで暮らしてるからバラバラになってるんですね。

-「核家族」という言葉をいちいち使わなくなったように、それが普通になりましたよね。

川﨑:昭和と平成ってその対比があると思うんですけど、僕がバンド活動を始めたのは平成なんです。NINE DAYS WONDERもmouse on the keysも平成のバンドで、もともと会社員を辞めて、フリーターで土方をやりながら、音楽でなんとかしなきゃってやってたんですけど、気づけば一番長く一緒にいるのがメンバーで、生活の中心がバンドになってた。あからさまに「俺たちコミュニティだぜ」って感じじゃないけど、でもすごくコミュニティ感があって、友達や家族以上に長く一緒にいる、不思議な関係なんですよ。「愛してるよ」なんてことは言わないですけど(笑)。

清田:(爆笑)

川﨑:それくらい近いんだけど、不思議な緊張感もあって、「甘やかしちゃいけない」とかもあると思うんです。そういうこともひっくるめて、僕のポスト平成がどんな時代になるかの予想は「Circle」なんです。損得勘定ではない繋がりがあったのが昭和だとしたら、平成はそれをぶっ壊して、損得勘定で繋がる時代になった。平成時代に自分も壊され壊して来て、そんな中で育った自分にとって、コミュニティとして大事だったのはmouse on the keysなんです。去年末くらいにそれに気づいて、シングルを作るときにそんなことを考えてたんです。ギターで2人参加してもらったり、ライブのVJのHello1103とかもそうだし、コレクティヴというか、当然今まで継続して関わってくれているスタッフやいろんな人たちも含めてこの関係性が成り立ってる。みんなの幸せな顔が見たいなって。この家族でも会社でもないコミュニティ感って、昭和と平成を通過したハイブリッドになり得るのではと思うんですよね。

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