ザ・キュアーのロバート・スミス、自身のアルバム14作を振り返る

11.
『Wild Mood Swings』
1996年
Wild Mood Swings

持て余すほどの成功、そして延々と続くツアー生活に疲弊したスミスは、時間をかけてバンドを再建することにした。スミス自身はラジオ受けすることを意識して曲を書いたとしているものの、長く続いた不在期間はバンドからかつての勢いを奪い、『Wild Mood Swings』のセールスは不振に終わった。



スミス:『Wild Mood Swings』の制作に着手した時、僕はモチベーションを取り戻してた。それは作風にも現れてると思う、思い切り羽目を外したような曲があるからね。でもあのアルバムは発売直後から酷評されて、ファンからの評判も良くなかった。あんなにも失望したのは、後にも先にも一度だけだよ。

僕が思うに、狂ったサルサのような趣のある「The 13th」が良くなかったのかもしれない。何年もシーンから遠ざかっていた僕らの久々の新曲だったわけだけど、人々はそれでアルバムに対して先入観を持ってしまったんだと思う。あの時点まで、僕らは作品ごとにセールスを伸ばしていたけど、あのアルバムはそれまでとは比較にならないほど不振で、レコード会社はそもそも僕らが成功していた理由がさっぱり理解できない様子だった。彼らがあのアルバムをロクに宣伝しなかったのは、そもそも何を誰にアピールすればいいのか分かってなかったからだ。

収録時間の長さも災いしただろうし、一貫性のなさも問題だった。バンドとして生まれ変わったことを示したくて、僕は意図的にいろんなスタイルに挑戦したし、『Kiss Me〜』っぽいやつなんかも試した。でもボリスがいなくなって、ジェイソン(・クーパー)が正式に加入するまでの間、ドラマーが毎週のように変わってたからね。中には名前を思い出せないドラマーもいるよ。




※Spotifyはこちら

Translated by Masaaki Yoshida

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