次のSpotifyを探せ、音楽業界を変えるスタートアップ

ー注目されるメンバーとして、室内フィットネスバイクのPelotonが新たに参加しています。音楽系スタートアップに投資しようとする彼らの意図はどこにあるのでしょうか?

彼らは、我々の投資に対する意識に賛同してくれた。彼らは世界最速で成長しているフィットネス企業で、彼らのコンテンツには音楽も含まれる。彼らはとても興味深いポジションにいる。彼らはアーティストをブレークさせる能力があり、曲をヒットさせる力がある。バイオメトリクスが好みのコンテンツにどの程度影響するかを測定することもできる。彼らとの初めてのミーティングで、「彼らは我々のやっていることにマッチしている」と実感した。ビジネスの視点からみると、彼らは音楽ビジネスの世界に広がり続けるユニークな動きの一部になっているといえる。何らかのサービスに数百万人規模の登録者を抱えていれば、一からビジネスを立ち上げるよりもずっと簡単に新たなプロダクトを開発できる。仮にNetflixが明日新しい音楽サービスを追加したとすると、多くの人々がすぐに登録するだろう。同様にPelotonのエコシステムには、アートやカルチャーに興味を持つ多くの人々が存在する。だから、アーティストたちがそこに絡んでいくのは自然なことだ。

ー第3回のプログラムには、何組のスタートアップが参加を希望したのでしょうか?

正確な数字は公表していないが、とにかく多い。今回全体の中から最終的に残った確率は1%に満たない。年ごとに状況は異なるので、応募者数を話題にしたくはない。それよりも難関を突破したスタートアップに注目したい。

ー膨大な応募者の中から選択するにあたり、どのような取り組みをしているのでしょうか? 類似した或いは大多数を占めるアイディアがたくさんあったでしょうか?

我々は、「音楽関連企業へ投資するのでなく、音楽にソリューションを提供する企業に投資したい」という主義を持っている。“音楽関連企業へ投資しているのでない”というのが、Techstars Musicの知られざる秘密だ。我々はロイヤルティ投資ファンドを目指している。対象は、ジェネレイティヴAIのコンテンツクリエイターや顔認識技術を開発する企業などだ。これらの優秀なアントレプレナーが成功を収めれば、音楽はより良くなる。ファン、アーティスト、業界の人間全てが利益を得る。

音楽に情熱を持ち、自分たちの趣向を共有したいと願う人々からたくさんの応募がある。アイディアの多くは「友だちが何を聴いているか知りたい」とか「自分のあこがれの人と同じ音楽を聴きたい」というものだ。しかし我々の評価では、そのようなアイディアから音楽をより良くするものは生まれない。興味深い経験だが、パイの拡大にはつながらない。我々としては、音楽の将来に貢献する巨大なビジネスに成長する可能性を持つ企業に注目したい。

ー次回のプログラムへ応募しようという人たちへアドバイスをください。将来有望な音楽系アントレプレナーへかける言葉はありますか?

私が投資したいと長い間注目している、とある企業がある。いわゆるゲームショーとは異なるインタラクティヴでグローバルなゲームで、リアルな音楽が流れ、リアルなオーディエンスが参加する。従来の音楽ビジネスは、新たなフォロワーを生み出すものに投資してきた。投資者はいわばひとつの炎にガソリンを注ぎ、大きなかがり火へと成長させようとする。つまりゼロから新しい何かをスタートさせることはしない。アントレプレナーは自分自身の力でマーケットに飛び込み、自分で炎を起こせることを証明しなければならなかった。

今はオーガナイズされた一連のルール、つまりマーケットが存在し、ファン、評論家、投資家などそれぞれの役割で“音楽ビジネスを担い”、アーティストの活躍の場を作る手助けができる。これらルールにはそれぞれの定義がある。我々は何年にも渡り、このような投資の機会をうかがってきた。我々は、カルチャーの将来的な発展に貢献するライフスタイル、音楽、テクノロジーのコンビネーションを求めているんだ。

Translated by Smokva Tokyo

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