アリアナ・グランデの『thank u, next』はたった2週間で完成した

アリアナ・グランデ(Photo by: Andrew Lipovsky/NBC/NBCU Photobank)

アルバムに参加した仲間たちが完成までの舞台裏を明かす。

2019年1月、シンガーソングライターのヴィクトリア・モネは、友人で長年ともに仕事をしてきたアリアナ・グランデとディズニーランドへ出かけた。「時々2人で行くんだけど、必ずファンがいるわね」とモネ。「でも、この時はマイケル・ジャクソンみたいだった。警備員が『写真は撮らないでください、サンキュー』って言うと、ファンが『サンキュー、ネクスト』って返すのよ。みんな大騒ぎだった」

グランデは他のスター同様、偉業達成まであと1歩と近づいた。ビルボード誌によれば、アルバムに先駆けてリリースされたシングルがチャートで連続No.1に輝いたのは、音楽史上マライア・キャリーとドレイクの2人だけ。

元彼のラッパー、マック・ミラーが2018年9月に悲劇の死を遂げたのを受け、「アリアナは一時期、何もする気になれなかった」とモネは言う。ソングライターで数々の楽器を演奏するジャメール・ロバーツは、『スウィートナー』次回作のためにグランデとスタジオでレコーディングする予定だった。「(ミラーが死んだという)話を聞いて、レコーディングが続行されるのかどうか、定かではなかった」

「実際、彼女はツアーをやめるつもりだったの」とモネも認める。「『この先数カ月はキャンセルする。こんなの私にはつらすぎるわ。動きたくない』という感じだった」



だが、仕事をキャンセルしようと考えてからおよそ2週間後、グランデはニューヨークへ向かい、長年ともに仕事をしてきたマックス・マーティンとサヴァン・コテチャと曲作りにとりかかった。モネもほどなく駆け付けた。「言うまでもなく、あのときは試練だったわ。でも音楽には元来、癒しの効果があるのよ」と説明するモネは、『thank u, next』の中の6曲に参加している。「それが私たちのよりどころだった。ときどきシャンパンをおともにしてね」

「親友の一人を亡くして、私自身も悲しみに暮れていた時だった」とニョムザ・ヴィータも言う。「thank u, next」と「7 rings」の共同作曲者でもある彼女は、故ミラーが運営していたレーベルRemember Musicからデビューしたアーティスト第1号だった。「あの場所(スタジオ)にいることで、ずいぶん気がまぎれたわ」

ニューヨークで、グランデと仲間たちは無我夢中で曲を作った。「最初の1週間で9曲ぐらい書いたのよ」とモネ。「次の週はできた曲を手直ししたり、手を加えたり、プロデュースしたり、2~3曲書き足したりしたわ」

Translated by Akiko Kato

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