2019年アカデミー賞予測、誰が取るのか?誰が取るべきなのか?

主演男優賞
クリスチャン・ベール『バイス』
ブラッドリー・クーパー『アリー/ スター誕生』
ウィレム・デフォー『永遠の門 ゴッホの見た未来』
ラミ・マレック『ボヘミアン・ラプソディ』
ヴィゴ・モーテンセン『グリーン・ブック』

『魂のゆくえ』でキャリア最高の演技を見せたイーサン・ホークが候補に上がっていないのはなぜだろう。この映画の興行収入が偏差値以下だったから、としか説明がつかない。そもそも、興行収入など参考にするべきではないのだが。5人の候補者の中で唯一実在の人物を演じていないのはブラッドリー・クーパーだが、監督賞のノミネーションに漏れた残念賞として彼が受賞するのでは、という見方もある。いやいや。我々の予想では、この2人の戦いに絞られるだろう。

本命:ラミ・マレック
映画としての『ボヘミアン・ラプソディ』に不満を持つ人も、クィーンのフロントマン、フレディ・マーキュリーを演じたマレックの心底しびれる神業級の演技にはあっぱれと舌を巻く。義歯をつけ、彼の一挙手一投足を模倣したマレックは、マーキュリーをがっつり自分のものにした。

大穴:クリスチャン・ベール
ゴールデングローブ賞コメディ部門で主演男優賞を受賞した直後、ベールは史上最強かつ最恐の副大統領ディック・チェイニーの役作りにインスピレーションを与えてくれたとして、「悪魔」に感謝をささげた。役のために体重を45ポンドも増量――アカデミーの会員はこういうのが大好きだ。だが一番の決め手は、ディックの穏健な仮面の下にある、沸き立つ怒りをベールは見いだしたという点だ。

最優秀女優賞
ヤリッツァ・アパリシオ『ROMA/ ローマ』
グレン・クローズ『天才作家の妻 40年目の真実』
オリヴィア・コールマン『女王陛下のお気に入り』
レディ・ガガ『アリー/ スター誕生』
メリッサ・マッカーシー『ある女流作家の罪と罰』

アカデミーの会員にとっては、まさに夢のような見事な女優陣が出そろった。花形コールマンにしてみれば、彼女の演じた役が、主役というより脇役とみられているのがちょっと痛い(みなさん、しっかりしてください、彼女は女王陛下役ですよ!)。メキシコ出身の学校教師アパリシオにとっても、演技経験ゼロというのが不利になるかもしれない。別のタイミングであれば、マッカーシーにも――ドラマとコメディ、どちらもこなせることを証明した――受賞チャンスはあっただろう。だが、今年はそのタイミングではない。2019年は、熟練の俳優と最有力の新人との一騎打ちになるだろう。

本命:グレン・クローズ
#TimesUp全盛の時代にクローズは、恩知らずな夫の陰で生きねばならなかった女性の苦しい胸の内を描いた。彼女にとってはこれが7度目のノミネーションだが、受賞はこれまで一度もなし。世の中に正義があるのなら、今年こそ彼女が受賞するだろう。

大穴:レディ・ガガ
初の主演作品で、スクリーンに見事に花を咲かせた。歌も演技もいける、というのはなかなかない。1979年、ベット・ミドラーがまさに同じ境遇だった。女優初挑戦の『ローズ』で見事な演技を披露しながら、惜しくもオスカーは逃したが。こんなことを言っても、なんの足しにもならないだろう。

Translated by Akiko Kato

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