2019年アカデミー賞予測、誰が取るのか?誰が取るべきなのか?

作曲賞
『ブラックパンサー』
『ブラック・クランズマン』
『ビール・ストリートの恋人たち』
『犬ヶ島』
『メリー・ポピンズ・リターンズ』

どれでもいいから今年公開された映画のサントラをじっくり聞いてみれば、作曲家ジャスティン・ハーウィッツが『ファースト・マン』のために書いた傑作が群を抜いて優れていることがわかるだろう。なのに、彼の名前はどこにも見つからない。ニール・アームストロングの伝記映画が興行的に失敗したせいだろうか? あるいは単なる無知ゆえか? 我々としては後者であることを願いたい。

本命:『ビール・ストリートの恋人たち』
胸にうっとり響くニコラス・ブリテルのサントラは、役者や脚本、監督と同じように、ハーレムを舞台に繰り広げられるロマンスを成功に導いた立役者であることがよくわかる。アカデミーもその点は評価しているようだ。彼らがこの賞の授与をCMタイムに行わないのは、奇跡といえるだろう。

大穴:『ブラック・クランズマン』
ご存知だろうか? テレンス・ブランチャード――スパイク・リー作品の大半のサントラを手がけ、今日現役で活躍する映画作曲家のなかでも指折りの才能の持ち主――が、いまの今まで一度もオスカーにノミネートされなかったことを? ふざけた話だろう? ニューオリンズ・ジャズの神童と呼ばれた彼は、全身全霊で『ブラック・クランズマン』の雰囲気をとらえた。ルートヴィッヒ・ゴランソンによる『ブラックパンサー』のアフロパンク作品が、番狂わせでかっさらっていく可能性もある。異論はあるかって? いいえ、ございません。

歌曲賞
「オール・ザ・スターズ」『ブラックパンサー』
「I’ll Fight(原題)」『RGB』
「幸せのありか」『メリー・ポピンズ・リターンズ』
「シャロウ」『アリー/ スター誕生』
「When a Cowboy Trades His Spurs for Wings(原題)」『バスターのバラード』

レディ・ガガの「シャロウ」以外に話題があるとすれば、偉大なるケンドリック・ラマーが『ブラックパンサー』の神話に携わったことだろう。他の候補者はこの際無視、または力不足だ――『メリー・ポピンズ・リターンズ』の、失くしたおもちゃや傘の中に死んだ親の姿を探すなんて歌は、キモいとしか言いようがない。

本命:「シャロウ」
ガガとブラッドリー・クーパーご本人が登場し、グラミー賞を獲得した本命バラードを全世界の視聴者の前で歌ってくれるなら――これこそ、CM中に流すはずもない――『アリー/ スター誕生』の影に隠れたほかの作品にも勝ち目が出てくるだろう。だが哀しいかな、彼らは賞に値しない。

大穴:なし
視聴率最優先の今年、アカデミーがセレブリティの信者らにアピールするチャンスを逃すと思うか? アカデミー会員は他の7部門では『アリー/ スター誕生』を邪見に扱うかもしれないが、この部門だけは別。大衆の好みが勝敗を決めるのだ。

Translated by Akiko Kato

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