Salyuと小林武史、3年ぶりのオーケストラコンサートで見せた美麗さ

「billboard classics Salyu with小林武史 premium symphonic concert 2019 -Valentine's Special-」(Photo by フォトスタジオアライ 豊嶋良仁)

「今日は、自分の音楽人生において節目になるような1日になりました。また明日から新しい気持ちで精進していきます」

感極まったSalyuがアンコールでそう挨拶したように、この日のステージは我々オーディエンスにとっても生涯忘れられないものの一つとなった。シンガーのSalyuと音楽プロデューサーの小林武史が、フルオーケストラを率いてコンサートを行うのはおよそ3年ぶり。今回は、前回の東京公演にも出演した栗田博文が指揮を執り、神奈川フィルハーモニー管弦楽団による演奏。「billboard classics Salyu with小林武史 premium symphonic concert 2019 -Valentine’s Special-」と銘打ち、2月16日に渋谷・Bunkamuraオーチャードホールにて開催された。

定刻となり、客電がゆっくりと落とされる中、まずは「to U」をオーケストラでアレンジしたインスト曲「Overture to U」からスタート。力強いブラスに続いて厳かなストリングスが会場一杯に鳴り響き、今日という日を高らかに祝福する。大きな拍手がわき起こり、ステージの両端から2人が登場。Salyuはバラを思わせるような、大きなドレープのついた白いロングドレスに身を包み、小林はジャケットに革のパンツというカジュアルな服装だ。

バイオリンのピチカートが軽やかに舞い踊り、2005年のアルバム『landmark』から「VALON-1」を披露。暗がりの中、オーケストラ団員たちの譜面台を照らすライトが客席からだとまるで夜景のようにも見え、Salyuの歌を夜空の下で聴いている気分になってくる。続く「プラットホーム」では椅子に腰かけ、キャロル・キングを思わせる美しいメロディをしっとりと歌い上げるSalyu。「be there」では、ハイハットとライドがリズムを刻み、その上で小林のピアノが軽やかに舞った。

「今日は3年ぶりに、フルオーケストラを迎えました。まさか、このような素晴らしいコンサートが再び出来るとは思っていませんでした。ビルボードさんのおかげです」と感謝の意を述べた後、2007年のシングル「name」をSalyuがエモーショナルに歌い上げる。小林が彼女に書いた楽曲の中でも、とりわけ起伏の激しいメロディだ。が、手を宙に振り上げながら針の穴を通すコントロールで歌い切ると、会場からは割れんばかりの拍手が起きた。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE