Spotifyの経営内部に切り込んだ、『解体新書』の著者が明かすストリーミング企業の裏側

Spotifyのロゴが映るスマートフォンの画面 (Photo by Alexander Pohl/NurPhoto via Getty Images)


─この本は多くのページを割いて、Spotifyがスウェーデン企業とはいえず、また音楽関連企業でもない理由を説明しています。なぜそうだといえるのでしょうか?

スニカーズ:Spotifyは「スウェディッシュ・クール」という看板をうまく活用したんです。少なくともアメリカでは目を惹きますよね。でも結局、他の企業と同じで金融資本に依存している。僕たちの調査はその点をはっきりあぶり出しています。

エリクソン:Spotifyは他のIT企業と大差ありません。投資頼みで、多方面から投資家を集めるのに必死なんです。だから本社がスウェーデンにあろうとも、会社が主軸をおいているのはニューヨークといった世界の大都市なんです。

スニカーズ:昔ながらの音楽業界は、バンドが楽曲を制作して、レコードショップで売っていました。今やSpotifyのような企業が出てきたせいで、金融とテクノロジーと文化創生がごちゃ混ぜになっています。先日、Spotifyによるポッドキャスト企業の買収が発表されました。Spotifyはそちらの方向に向かっているんです。あの会社がどんなに自分たちを音楽関連企業として打ち出そうとしても、よくよく見れば、音楽だけじゃないことが明白になってきますよ。

─昨年Spotifyは、プラットフォーム上の楽曲を倫理的に精査するというコンテンツポリシーを作成し、そのあとすぐ撤回しました。その点についてはどう思いますか?

スニカーズ:その手の噂は絶えませんね。Spotifyはどの音楽を許容して、どの音楽を禁止するのか。実際のところ一番の問題は、彼らがいまだに自分たちのコンテンツを持っていないという点です。会社に入ってくる売上の80~85%が、レーベルやアーティストに流れていってしまう。Netflixと同じジレンマですよ。彼らがコンテンツ制作に参入する可能性は高いですね。どうやって打開するのかが一番(気になるところ)です。

─Spotifyに関して、世間が見過ごしている点はどこでしょう?

スニカーズ:Spotifyは自分たちのことを、みんなが大好きな音楽を発信する親切な会社、と打ち出して成功を収めました。それがFacebookとは違うところです。ですが、どちらも所詮は同じ穴のむじな。データを取得して、データを調べて、ユーザーの全情報を知り尽くす。ですから世間は、もっと重大な疑問を抱いてしかるべきです。たとえば、自分がFaccebook以外のメディアや音楽プラットフォームにアクセスすると、Facebookにどんな情報が流れていくのか。どんな内容のコンテンツが大々的に宣伝されるのか? 新人アーティストが参入できる可能性はあるのか? こうした企業やプラットフォームは、実際にどのぐらいの影響力を持っているのか?

Translated by Akiko Kato

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