2度の助演男優賞受賞、マハーシャラ・アリという生き方

マハーシャラ・アリは昨年秋の『グリーンブック』の撮影の後、1月から始まるHBOの犯罪ドラマシリーズ『トゥルー・ディテクティブ』シーズン3の撮影が始まる前に7日間の休暇を取った。Photograph by Melodie McDaniel for Rolling Stone | Grooming by Simone for Exclusive Artists Management. Styling by Van Van Alonso. Jacket and Pants by Etro. Shirt by P

第91回アカデミー賞で、映画『グリーンブック』のマハーシャラ・アリは、昨年の『ムーンライト』に次ぐ、2度目の助演男優賞を受賞した。ハリウッドで約20年の苦労の末、主役になるためにすべてを賭けた、その半生を追う。

ロサンゼルスの丘の上にあるグリフィス天文台の駐車場を歩きながら「俺はいいバランスを取ろうとしているだけなんだ」と俳優であり夫であり父であり新作映画『グリーンブック』のスターでもあるマハーシャラ・アリは言った。「自分の選択に責任を持って意義のある仕事をしたいんだ。もらえる仕事をしっかりとこなす。それから家族だ。妻と子供の望みを満たすための努力をする。そして、ちゃんと自分の時間を取ることも忘れないこと! 俺は昔から少し1人でいることを好むところがあって。でも、1つ1つがいい状態にあるとその全てがさらにうまくいく、というのが俺の持論。すべてがより良くなるような、お互いを満たす魔法みたい時が来ると思っているんだ。俺ももうすこしでそこに到達できると思っているよ。」と彼は続けた。

インタビューの開始から5分ほどたってアリは私が聞いた最初の質問に答え終わった。その質問は「調子はいかがですか?」である。

現在44歳のアリは広い心の持ち主で非常にソウルフルな人間である。それは心優しいドラッグディーラーを演じアカデミー賞を受賞した2016年の『ムーンライト』や、トランプ大統領が入国禁止令を出した48時間後に黒人であるアリが純白のタキシードという装いでステージに立ち、堂々と自分がイスラム教徒であることを公表した全米映画俳優組合賞におけるスピーチ、公民権運動の時代にアメリカ南部で差別に立ち向かうピアニストを演じた『グリーンブック』、そしてまさに今ロサンゼルスの観光スポット第2位であるこの場所で観光客に囲まれた状況においてすら深みと知性が溢れ出るように話しているところからも見て取ることができる。

『グリーンブック』の監督、ピーター・ファレリーは「彼は高徳なヤツなんだ。神聖と言うか輝いていてとてもオープンな心とスピリットを持っている。彼と関われるなんて幸せなことだよ」と語る。



もしバランスのことがアリの頭の中にあるとすれば、それは恐らく彼が1年間ノンストップで仕事に打ち込んできたからだろう。彼は昨年秋の『グリーンブック』の撮影の後、1月から始まるHBOの犯罪ドラマシリーズ『トゥルー・ディテクティブ』シーズン3の撮影が始まる前に7日間の休暇を取った。そして、過酷な7ヶ月を送り、すぐにオスカー賞候補の『グリーンブック』のプロモーション活動に奔走した。一方、彼と妻であるアマタス・サミ=カリムは1歳8ヶ月になる娘のために貯金するため、「リノベーション率75%」家に住んでいる。「だから休んでいる暇なんてないんだ。最近、自分の写真を見て『わお、なんて眠そうなんだ!』って思ったよ」とアリは言う。

Translated by Takayuki Matsumoto

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