追悼:ルーク・ペリー、生涯を代表する役柄「ディラン・マッケイ」の魅力

ルーク・ペリー(1966~2019年)Spelling/Kobal/REX/Shutterstock

ローリングストーン誌のポップカルチャーのエキスパートであるロブ・シェフィールドが、青春TVドラマのプリンスとなったディラン・マッケイを演じた、今は亡きルーク・ペリーに弔辞を捧げる。初登場のシーンから、ディランの名言、ブレンダとのファースト・キスの撮影秘話まで、彼の存在が『ビバリーヒルズ高校白書』を名作にした数々のエピソードを振り返る。

ルーク・ペリーよ、安らかにーー。

君が道を切り拓いたからこそ、『アンジェラ15歳の日々』のジョーダン・カタラーノも存在し得たのだ。最初に我々が彼を目にしたのは、90年代にヒットしたドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』の不良青年ディラン・マッケイ役だった。本作が史上最高の青春TVドラマであるのは間違いない。よそ者で、翳りのあるまなしと、エルビス風のもみあげ。のちに親友となるジェイソン・プリーストリー演じるブランドン・ウォルシュと初めて会ったとき、ディランはオープンカーに乗って彼を迎えに来た。助手席に置かれた本にブランドンの目が留まる――「ほう、読書が趣味なのかい」 だがよく見ると、驚いたことに浪漫主義の詩人バイロン卿の詩集だった。「イカれていて、ワルで、危険な男」とディラン。「それがバイロン。それが俺さ」

今振り返ると、あれが始まりだった。ルーク・ペリーはあの瞬間から、スター街道をひた走ることになったのだ。

ディランが読んでいたのは、バイロンの「マンフレッド」か、はたまたは「異端者」か――だが重要なのは、ルーク・ペリーほどバイロンらしい存在感で、ディランを10代の反逆児の原型として記憶に刻んだ人物はいないということだ。ジェネレーションXのサーファーではみ出し者、詩を愛読し、女を泣かせる色男。これが『ビバヒル』人気の源だ。残念ながら、ルーク・ペリーは脳卒中により52歳でこの世を去った。『リバーデイル』でアーチーの父親役を演じ、久々の大復活劇を見せてくれたというのに。CWテレビジョンネットワークのヒット作の中で、かつて怒りをぶつけていた典型的なTVの父親を演じながらも、ペリーは誰よりもイカれていて、ワルで、危険な男だった。

彼はディランを高校生のヒーローに仕立て、一躍時の人となった。誰にも縛られないアウトロー。留守番電話のメッセージはこうだ。「ヘイ、ディランだ。あとはどうするかわかるだろ」(友人の半数がそうしたように、私もCMの合間に同じメッセージを自分の留守番電話に吹き込んだ)。高校生でなくても、誰もが番組のトリコになった。その主な理由はルーク・ペリー。彼は名言を引用するのが好きだった。「我、橋に火をつけ道を照らしたもう!」 ディランはシャノン・ドハーティー演じるブレンダと付き合うのだが、彼のソウルメイトは実はジェニー・ガース演じるケリーだった――ソフィー・B・ホーキンスの「Dam I Wish I Was Your Lover」をバックに熱い視線をかわした1992年の夏の後、2人はようやく結ばれた。2人は毎朝、朝食にいちごを食べ、ダイナソーJr.の最新アルバムを聞くのが好きだった(最高傑作『ホエア・ユー・ビーン』だった)。「ねえ、今日は学校なんかサボって、1日中ベッドで過ごさない?」とケリーがおねだりすると、彼はピシャリと「だめだよ。上級英語の授業があるんだ」 こんな場面をもっともらしく見せられるのは、おそらくルークだけだろう。

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