フィービー・ブリジャーズが語る音楽的ルーツ、ロックの聖地サウンド・シティでの体験

フィービー・ブリジャーズ、渋谷で撮影。(Photo by Hikaru Hagiwara)


―では、3人のソングライターが集まったボーイジーニアスの場合は、どんな部分がチャレンジングでしたか?

チャレンジというよりも、イージーだったわ(笑)。何よりすごく楽しかったしね。それぞれがソロで曲を書けるソングライターであって、かつ年齢的にも同世代だから(フィービーは94年生まれで、ジュリアン・ベイカーとルーシー・ダカスは95年生まれ)、ヘンな気遣いとかもいらなかったし。いざ曲を書きはじめたら、4日間でライティングからレコーディングまで完成しちゃったことに自分たちでもビックリしたぐらいよ!



―ボーイジーニアスがレコーディングを行ったサウンド・シティって、デイヴ・グロールが映画化(2013年の『サウンド・シティ - リアル・トゥ・リール』)したあのスタジオで間違いありませんよね?

そうそう。デイヴはあのコンソールを自分のプライベート・スタジオに引き取ったのよ(※)。だから、映画に出ていたコンソールはもうサウンド・シティには置いてなかった(笑)。でも、ニルヴァーナやトム・ペティもレコーディングした場所だったから光栄だったわ。

※Neveのコンソールを買い取ったデイヴは、自身のスタジオ606に設置。ASIAN KUNG-FU GENERATIONが同スタジオに赴いた2015年作『Wonder Future』では、そのコンソールが録音に使われている。ちなみに、サウンド・シティは2011年に一度閉鎖したあと2017年に再オープンした。

―他にもサウンド・シティからは、あなたも好きなニール・ヤング(1970年の『アフター・ザ・ゴールドラッシュ』)やフリートウッド・マック(1977年の『噂』)など数々の名盤が生まれていますよね。あの場所で何らかのマジックは感じましたか?

イエス! 素晴らしい体験だったわ。これまでのロックンロールの長い歴史は、何度も何度も白人男性が中心となって築き上げてきた。「ホワイト・ガイ・マジック」とでも言うのかしら(笑)。あなたも言うように、サウンド・シティってロックの巨人たちが入り浸った場所なわけでしょ? そんな伝統を、私たち3人の若い女性たちがぶち壊したっていうのが痛快よね。

―いわゆる「ロックの歴史」って興味がありますか?

そうね。実は先日ザ・ナショナルのマット(・バーニンガー)とサウンド・シティでレコーディングをしたんだけど、彼と一緒に座っていたソファは、昔カート・コバーンが歌詞を書くときに使っていたらしくて……。すごくクールだった(笑)。


Photo by Hikaru Hagiwara

―今年からスタートしたもうひとつのプロジェクト、ベター・オブリヴィオン・コミュニティー・センター(BOCC)の場合はどうでしょう。コナー・オバーストもキャリアを通してめちゃくちゃ多作な人ですが……。

去年の6月にはじめて4日間で完成したボーイジーニアスとは違って、BOCCはおよそ1年かけて準備したプロジェクトだったの。コナーは私が小さい頃からずっとファンで作品を聴いてきたアーティストでもあるし、憧れの存在でもあったから、まずは私が彼と同等(Peer)の立場にならなければいけなかった。アルバムの曲は最初から最後まで2人で作り上げたものなんだけど、コナーと私は2人とも脳みそをフル回転させながら曲を書いていたし、こういう作業は彼にとっても初めての経験だったみたいね。

―コナーが作ってきた作品の中で、一番のお気に入りは?

ブライト・アイズの『カッサダーガ』(2007年)かなあ……。あ、でも曲単位だったら「Cape Canaveral」がマイ・フェイバリットね! ソロ名義の最初のレコード(2008年の『Conor Oberst』)に入っているわ。宇宙船についてずっと歌っている曲で(ケープ・カナベラルは米フロリダ州の砂洲で、ケネディ宇宙センターとケープ・カナベラル空軍基地が存在)、私にとっては、彼がいかに素晴らしいソングライターであるのかを証明してくれるナンバーだと思っている。この曲って実はコナーにとってもお気に入りのひとつで、歌詞とメロディが宇宙に連れて行ってくれるような感覚があるのよね。



―BOCCの話に戻ると、「Dylan Thomas」のビデオはミシェル・ザウナー(ジャパニーズ・ブレックファスト)がディレクションしたんですよね。どういったコンセプトで撮影されたものなんでしょうか?

彼女いわく、『ツイン・ピークス』の世界を参考にしたみたい(笑)。それで、クレイジーでトリッピーなニューエイジっぽいイメージをみんなで集めたんだけど、結果的にはすごく楽しい撮影だったわ。そうだ! あなたたち、リリ・ヘイズ(※)のインスタはフォローしてる? 彼女はビデオの中でお婆ちゃんになった私を演じてくれてるんだけど、とても面白い人よ(iPhoneでリリの動画を見せながら爆笑)。彼女は、私たちの友人でもあるケヴィン・ヘイズっていうドキュメンタリー作家のママなの(笑)。

※1947年生まれのインスタグラム・スター。過去にフィオナ・アップルとも共演している。

―ちなみに、あのビデオで使われてる謎のシンボルって何ですか?

わかんない(笑)。レーベルが見つけてきたものをミシェルが選んだらしいから、私も教えてほしいぐらいよ!


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