売春の非犯罪化、2020年大統領選の焦点に

ダニエルズの存在が全国レベルで知れ渡るようになったことも、セックスワーカーの権利が公共の話題に上る後押しになったといえよう。特に彼女はメディアでセックスワーカーの権利向上を声高に主張してきた。ごく最近では、ダニエルズはロサンゼルスタイムズ紙に論説記事を寄稿し、カリフォルニア州のDynamex規定(正規雇用と業務委託を判別する検査を企業に義務付けるもの)に反対の姿勢を表明した。彼女が主張するところでは、この規定はストリッパーが個人事業主として働く権利を蔑ろにしているという――ダニエルの影響力がなかったら、この問題が議論に上ることは決してなかっただろう。「(セックスワーカーの権利問題に関するダニエルズの)発言の影響は、あまり世間では認識されていませんが」とジェンティリ氏。「ストーミーは風俗業界で働く当事者です。(彼女の力が)いわば、風俗業界を代表する象徴的存在です」

セックスワーカーの権利問題が新たに注目を浴びる一方、The Breakfast Clubでのサンダースの発言からは、この問題をタブー視するある一定の懸念があることも否めない。「おそらく彼は、政治的にリスクが高いと思ったのでしょう」とルーオ氏は言う。ジェンティリ氏も同じ意見だ。「(彼の考えは)『売春問題に触れなければ、ロングアイランドの主婦層をごっそり獲得できる。なら、そうしよう』とんでもない。いまの時代、あるコミュニティを避けて別のコミュニティに媚びる、というのはもはやまかり通らないことを、候補者もそろそろ理解するべきです」

だがジェンティリ氏のような元セックスワーカーは、売春が公の場でおおっぴらに議論されるようになったこと自体が、世論の変化の現れだという。「10年前、私は売春のために監禁され、そのせいで拘留されました。留置所から出てきたとき『こんなのおかしい』と思いました」と本人。「売春についてこうした議論が出てくるなんて、予想もしなかった。それだけでも素晴らしいことです」

Translated by Akiko Kato

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