売春の非犯罪化、2020年大統領選の焦点に

人身売買反対法案FOSTA/ SESTAが可決して以来、セックスワーカーの権利は徐々に国民の関心事となりつつある Erik McGregor/Pacific Press/LightRocket/Getty Images

セックスワーカーの権利に関する姿勢を問われる大統領選候補者たち――各候補の反応はいかに?

一般的な謳い文句の表現を借りれば、売春の非犯罪化は「今が旬」。ニューヨークのジュリア・サラザール議員とジェシカ・ラモス議員は、ニューヨーク州を売春の非犯罪化第1号の州とする法案を提出。先月カリフォルニアの上院議員も、セックスワーカーが暴力犯罪を容易に通報できるようにする法案を提出した。また、アメリカでもっとも有名なセックスワーカー、ストーミー・ダニエルズも、新たに手に入れた知名度を足掛かりに立ち上がり、セックスワーカーの権利問題をTwitterで主張。国内各地の集会でセックスワーカーの権利をよびかけている。

セックスワーカーの権利がここへきて新たに注目されるようになり、女性の権利や労働者の権利に味方する時代風潮も相まって、2020年の大統領選に出馬を表明する民主党候補は、これまで全国レベルでの会話では周辺に追いやられていた問題に取り組むことが求められている。だが、そのうち何人がそうするかどうかは分からない。

ひとつ例を挙げると、ヴァーモント州選出の無所属バーニー・サンダース上院議員は、最近行われたラジオ局The Breakfast Clubとのインタビューで売春の非犯罪化について尋ねられると、「いい質問ですね。私から申し上げることはありません」と答えた。

サンダース議員の反応は注目を浴びた。ひとつには、2020年大統領選にあたってこのような質問を受けた候補者は、彼が初めてではないことが挙げられる。カリフォルニア州選出の民主党サマラ・ハリス上院議員は、地方検事だった2008年、サンフランシスコの売春非犯罪化法案に反対した経験がある。また最近では、非犯罪化の問題に180度態度を転換したことがニュースになった。「そう思います。私ならそうしますね」 オンラインマガジンThe Rootとのインタビューで売春は非犯罪化するべきかを問われた元地方検事は、このように答えた。さらに「セックスワーカーの方々に安全な場所を提供するという点に関して――私はこれまで通り、大々的に支持します」

ただし、同じインタビューの中でハリス議員は、セックスワーカーたちから差別的で害を及ぼしかねないと批判されているSESTA/ FOSTA法案支持の立場を強調することも忘れなかった。「Backpageを運営していた人々のやり方は、我々の生活に首を突っ込み続け、若者を商品とすることで儲けていました。ですから私はサイトの閉鎖を訴えたのです」 セックスワーカーの広告を掲載していたwebサイト、Backpage.comに言及して議員はこう発言した。「あのような決断をしたことに後悔していません」 セックスワーカーの権利を支持する人々は彼女の態度に納得してはいないものの、サンダース議員とハリス議員が全国レベルで非犯罪化について問われたこと自体が重要なのだと、ニナ・ルーオ氏は言う。ニューヨーク州での売春非犯罪化を推進する組織DecrimNY運営委員会のメンバーだ。「いまや全国レベルでの議論になりつつあります」という彼女は、「ジャーナリストがこの問題を取り上げるのは……以前よりも世間がこの問題を重視しているからです」

Translated by Akiko Kato

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