追悼ルーク・ペリー『ビバリーヒルズ高校白書』92年の出演者インタビューを回想

『ビバリーヒルズ高校/青春白書』に出演したイアン・ジーリング、トリ・スペリング、ブライアン・オースティン・グリーン、ガブリエル・カーテリス、ジェイソン・プリーストリー、シャナン・ドハーティー、ルーク・ペリー 『ビバリーヒルズ高校/青春白書』1990 – 2000年、スペリング・テレビジョン(Spelling/Kobal/REX/Shutterstock)

『ビバリーヒルズ高校/青春白書(通称:ビバヒル)』で、ディラン・マッケイを演じたルーク・ペリーが米現地時間3月4日の早朝、重篤な発作に襲われ52歳でこの世を去った。ルーク・ペリーを偲び、ローリングストーン誌の1992年2月に掲載された、当時の出演者たちによるインタビュー記事を掲載する。熱狂したファンによるショッピングモールでの襲撃など、『ビバリーヒルズ高校/青春白書』のスターがいかにして当時の人気現象に対処したかを語っている。

「たとえ友におだてられたとしても、地に足をつけておくべし」。ルーク・ペリーのフォーチュンクッキーに入っていたおみくじの言葉だ。ペリーの写真付きハート形クッションがアメリカ中でバカ売れし、アヤトラ・ホメイニ師の葬儀が教会の会合レベルにかすむほど姿を現すごとに人々を熱狂させてきた男になんともふさわしいアドバイスだ。「前に(コロラド州)デンバーで出くわした女の子の呼吸が止まったことがあった」とペリーは言った。「俺の目の前で気絶したんだ。あの時はさすがに『おいおい、マジかよ、息をしてくれよ、頼むよ』って思った」

「そういうのは好きじゃない」とペリーは語った。「俺がザ・キング・オブ・ロックンロールならわかるけど」とエルヴィス・プレスリーのような形をしたデカンターを指しながら言った。「でも俺は違う」。ペリーは比較的落ち着いたハリウッドの中華料理店にいる。キッチュなセレブグッズやかつてお茶の間を賑わせ、今では忘れられてしまったフランキー・アヴァロンなどのスターの写真が飾られている。もう公の場には姿を現さないようにしている、とペリーは言った。「安全が確保できないから」と強い口調で発する言葉にいらだちがにじむ。「洗濯物みたいに輸送されるのはもうこりごりだ」。1991年の5月、ワシントン州シアトルのショッピングモールでティーンエイジャーの女性ファンがタビネズミの大群のようにバリケードに殺到したせいで、ペリーは洗濯物入れに隠れて脱走しなければならなかった。8月には何千人もの熱狂的なファンがペリーの登場のために設置された仮設ステージに押し寄せ、互いをもみくちゃにした。十数人が病院に緊急搬送され、アメリカ中のニュースキャスターが「ティーンの片思いが大混乱に発展」とクラッシュをかけたおどけたヘッドラインを読み上げる結果となった。「傷つけ合うなんて、本当に最低だ」とペリーは言った。

こうした熱狂的な人気の原因はすべて米FOXテレビのドラマ『ビバリーヒルズ高校/青春白書(通称:ビバヒル)』にある。ドラマでペリーは超クールな一匹狼の秀才、ディラン・マッケイを演じた。ペリー曰く、ディランは「圧倒的な知性の持ち主」でもあるらしい。ジェイソン・プリーストリーやシャナン・ドハーティーと共演した同作は、門限からAIDSにいたるまで、様々な問題を取り上げた。1990年の秋に『Babes』という導入部とともにドラマ『チアーズ』と同じ時間帯で初めて放送されたものの、視聴率も評価も散々だった。誰もが打ち切りを予想した。それでも、アメリカ中の若者の間でフィーバーが巻き起こると、数週間程度の仕事を想定していた俳優たちは瞬く間にスーパースターになった。

その結果、ペリーはドアノブ工場での重労働を辞め(「クソみたいにベタベタしたでっかい物体を磨いてきれいにする仕事だった」とタバコの灰を落としながらペリーは言った。「汚い物体から酸性廃棄物を除去してた。マジでサイテーだった」)、『ルーク・マニア!』や『大好きルーク』のようなタイトルの本(シックスティーン誌はペリーの「『強烈な存在感』が彼を『世界一の人気者』という果てしない高みへと押し上げた」とまで表現した)の主人公へと生まれ変わった。タブロイド誌にマドンナとの関係が報じられると、ペリーは正式に色男の仲間入りを果たした(「ドラマの人気俳優ルーク・ペリーが男殺しのマドンナの餌食になる」とザ・グローブ誌は報じた)。

Translated by Shoko Natori

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