産業用大麻とその派生商品、米国で合法化が進まない理由は?

「一般的にこの種の政府機関の動きは、誰かに尻を叩かれるまで氷河のように遅い」とワイデン議員は指摘した。

しかし今のところFDAは、ドナルド・トランプ大統領が法案に署名した2018年12月20日に、ゴットリーブ長官名義で声明を出したのみに留まっている。FDAは同長官が辞意を表明して以降、コメントを求めても即答がない。

「本件に関する幅広い公共の利益と、適切な大麻商品の開発推進に対する議会の明確な関心を前提として、我々は近い将来にステークホルダー向けの公聴会を開催し、商品の安全性に関する情報や見解を含む、彼らの経験や取り組みを共有する用意がある」と、FDAの声明では述べられている。

FDAはまた、国会議員に対して直接対応すると表明しているものの、具体的なタイムラインは示されていない。

「改正法の適用にあたり我々は、CBDに関する安全性や科学的根拠についての情報を含む幅広い意見や情報をインプットすべく計画している。しかし、本プロセスには時間がかかるものと承知している」とゴットリーブ長官は、2019年2月下旬に行われたカンファレンスで発言している。「我々としてはステークホルダーの意見に耳を傾け、議会と代替的アプローチの可能性について話し合うことで、我々がCBD商品規制に対する効率的かつ奇抜でない規制の枠組みを用意していることを確認したい。」

FDAによる絶対的な指針がない限り、新興の国内CBD業界に“表示偽装”という別の大きな問題が起きるだろう、とする批評家もいる。

2017年、米国医師会雑誌(JAMA)が84種類のCBD商品を検査した結果、正確な表示がなされていた商品は31%のみで、しかも20%の商品には向精神作用を持つTHCが含まれていた。

「同検査結果により市場には、CBDを全く含まず、かつTHCの成分が含まれる商品が多く出回っていることが判明した。つまり、治療効果を求める人たちの期待通りにはならないということだ」と、大麻合法化を提唱する団体NORMLのポリティカル・ディレクター、ジャスティン・ストリカルがローリングストーン誌に語った。「“これはタイレノール(解熱鎮痛薬)です”と言いながら、ただの角砂糖を売っているような企業は許せない。」

ストリカルをはじめとする人々がFDAの介入を求める理由のひとつがここにある。しかし、同組織の発行する指針だけでは、CBDを禁止する国や地方自治体の法律を変える役には立たないだろう。従って合法化の提唱者たちは、大麻合法化を謳った新たな連邦法に準拠した地方レベルの法整備へ向けた一層の努力が必要だ、と主張している。

「ほかにもっと時間をかけて取り組むべき問題を多く抱える中、法執行機関が大麻取り締まりを優先するのは理屈に合わない。しかし彼らは法を執行し続けている。だからこそ、至急法律を改正する必要があるのだ」とストリカルは言う。

しかしFDAが新たな指針を示すことも、各州の対応を促すだろう。同時に消費者に対しては、地元の店舗でCBDと表示された商品が信頼できることを周知できる。そのため合法化を推進する議員や合法化提唱者たちがあらゆる方面からプレッシャーをかけ、結果として議会がFDAに対応を促し始めることを期待している。

「我々はこの機会を捉えて草の根から立ち上げ、FDAにはお役所仕事から脱却して明確な指針を出させようと懸命に努力している。“あなた方ならできる。なぜだかわかるか? 考えが古いのだ。これは連邦法で定められたのだ”」とオレゴン州選出のワイデン上院議員は言う。「これは議会の意見だ。連邦法で産業用大麻と派生商品は合法になっているのだ。」

Translated by Smokva Tokyo

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