三浦大知アリーナ公演で目撃した「ネクストレベルの向こう側」

今回のツアータイトルに掲げた「ONE END」とは、「片方の端」「一端」のこと。このテーマについて本人は「僕たちと皆さんで片方の端をつかみ合って、僕たちが投げたボールをつかんで、このライブの一端を担ってもらって一緒にライブを作っていけたら」とMCで説明する。

カバーコーナーを経て、ライブは「DIVE!」から後半戦。続く「Cry & Fight」からダイナミズムを押し出した展開へ。ここで披露された「Blizzard」「EXCITE」は三浦のレパートリーにおけるアニメ映画、特撮ヒーローの主題歌となった楽曲だが、観客のレスポンスやタオル回しで場が一体となるため、ライブに欠かせないアンセムになりつつある。

個人的に、アルバム『球体』の曲は、独立したコンセプトを持っているがゆえに些かアンビエンスすぎるというか、どうしても浮いていた。レコ発ツアーでもないこうしたライブで、これまでの曲と並べてなじませるには無理がある。けれど、この異質さもライブ全体において良く作用しているように感じた。ファンがノリを封じて押し黙って没入する“見せどころ”にも、普通のポップスのライブから逸脱する“スパイス”にもなっているからだ。『球体』は三浦と全曲作詞作曲編曲を手がけたNao’ymtによる壮大な実験プロジェクトだったが、結果的にアーティスト三浦大知をネクストレベルに押し上げるエポックメイキングな1作になった。願わくば、たまにまたああいった実験をして、自身の活動を、ポップスのフィールドを刺激してほしい。


Courtesy of avex

ソロデビューから14年が経つ三浦。様々な時期の曲を詰め込んだ今回のツアーだが、やはり「ONE END(片端)ずつつかんで観客とつながる」というテーマに基づいて、オーディエンスと一緒に楽しめる曲が多かったことが印象的だ。本編ラストスパートの「music」も、三浦のリードのもと場内にはハンドクラップやコーラスの大合唱がこだまし、笑顔が咲き乱れた。

ライブを締めくくる挨拶として、三浦は「今日はONE ENDのこちらからいろんなものを投げさせてもらったんですけど、それをキャッチするどころか皆さんからたくさんのものを投げ返してくれて、最高なライブを作ることができたんじゃないかなと思います。もらったものをしっかり離さないで、これからも歌って踊っていきたいと思いますので、これからも三浦大知を、三浦大知チームをよろしくお願いします!」とコメント。晴れやかな笑顔は、自分をぐるりと囲む観客と呼応し合った証でもあった。


Courtesy of avex

アンコールの最後を飾ったのは、曲名からして今回のテーマにぴったりな「Touch Me」。“ONE  END”同士がボールを投げて、受けて、投げ返して。三浦と観客の相互作用でひとつの橋を作り上げたような、相思相愛な熱狂に包まれた一夜だった。

※写真は2019年3月13日(水)大阪城ホールにて撮影されたものです。

【「DAICHI MIURA LIVE TOUR 2018-2019 ONE END」セットリスト】
~OPENING SE~
1. Be Myself
2. Unlock
3. 硝子壜
4. Inside Your Head
5. (RE)PLAY
6. Perfect Day Off
7. FEVER
8. Can You See Our Flag Wavin’ In The Sky?
9. Breathless
10. ふれあうだけで ~Always with you~
11. 世界
12. カヴァーコーナー
13. DIVE!
14. Cry & Fight
15. 飛行船
16. Black Hole
17. Blizzard
18. EXCITE
19. music
20. Darkest Before Dawn

~ENCORE~
EN1. Anchor
EN2. Touch Me

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