追悼キース・フリント:ザ・プロディジー絶頂期の秘蔵インタビュー「人生を楽しんで何が悪いんだ?」

1997年8月21日刊行、米ローリングストーン誌の第767号で表紙を飾ったザ・プロディジーのキース・フリント(Photo by Peter Robathan/Katz/Outline)


本国イギリスにおいて、プロディジーは過去6年間で着実にキャリアを積んできた。11曲のシングルを立て続けにヒットさせ、最新の2曲(「ファイアスターター」「ブリーズ」)はチャートの首位に輝いた。バンドはつい最近までアメリカでは無名に等しかったが(2ndアルバム『ミュージック・フォー・ザ・ジルテッド・ジェネレーション』は、ビルボードで最高198位どまりだった)、今やその状況は一変した。1997年のGreat American Electronica Hypeにおいて、プロディジーはエレクトロニックの波が押し寄せるミレニアル世代のポップミュージック界(あるいはMTV)の救世主として崇められた。

しかし、それは本人たちの見解とは異なる。エセックスの郊外に構えたバンドの拠点、Braintreeスタジオの近くにあるホテルで世界中のジャーナリストを招いて行われた記者会見の場においても、彼らは見るからに不機嫌だった。その記者会見の目的は、新作『ザ・ファット・オブ・ザ・ランド』のプロモーションだ。同作は発売からわずか1週間で300万枚を売り上げ、アメリカを含む23カ国でチャートの頂点に立った(ハウレットはその記念にマスターベーションをしたという)。にもかかわらず、現在の彼らは警戒心をむき出しにしているように見える。ホテルの一室で、フリントとソーンヒルは記者たちに囲まれていた。



「アメリカではあなた方をロックンロールの未来と呼ぶ声が多数ありますが、今のお気持ちは?」記者の1人がそう質問した。

「俺たち全員明日には死んでるかもしれない」ソーンヒルは突っぱねるようにそう語った。「未来もクソもねぇよ、あるのは今だけだ。ただでさえアメリカのダンスシーンは10年も遅れてるんだからな」

「エレクトロニカって言葉を聞いた瞬間、すげぇウンザリした」フリントはそう話す。「俺たちはエレクトロニカじゃねぇ。あれは自分が音楽通だってことをアピールしたいやつが手を出すような代物で、あっという間に消えちまうさ。俺たちは進化し続ける。『イギリス発、最新のエレクトロニックミュージックの衝撃!』みたいなのは俺たちじゃねぇ。ライブを観に来ればわかるさ。爆発的なエネルギー、世に物申すアティテュード、ブラックミュージック譲りのタフなビートと本物のソウル、そういうのを求めてるやつはプロディジーにハマるはずさ」


米ローリングストーン誌の第767号表紙(Photo by Peter Robathan/Katz/Outline)

その隣の部屋では、ハウレットとマキシムが同じような発言で集まった記者たちを喜ばせていた。

「こんなハイプはどうせ長続きしないんだ」ハウレットは皮肉な笑みを浮かべてそう話す。「アメリカのメディアが喜びそうな発言だろ? 蓋を開けてみないとわかんねぇけどさ、アメリカのシーンは変わってるからな。音楽業界は次に来るのはエレクトロニックな音楽だって囃し立ててるけど、俺はそうは思わないね。アメリカのキッズはロックに夢中でいいんだよ、俺たちがやってんのは異形のロックなんだからさ。オービタルとかとは違うんだよ。彼らは友達だし、俺は彼らの音楽が好きだけど、そこにロックの要素は1パーセントもない。MTVはこれまでどおりロックを流してりゃいいんだよ、俺たちは別に目新しいことをやってるわけじゃないんだから。一風変わってはいても、俺たちの音楽はロックなんだよ」

Translated by Masaaki Yoshida

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