追悼キース・フリント:ザ・プロディジー絶頂期の秘蔵インタビュー「人生を楽しんで何が悪いんだ?」

1997年8月21日刊行、米ローリングストーン誌の第767号で表紙を飾ったザ・プロディジーのキース・フリント(Photo by Peter Robathan/Katz/Outline)


「ファイアスターター」以前にキース・フリントの歌を聞いていた人間がいるとすれば、それはバンドのメンバーだけだろう。ツアーバンの後部座席に座ったフリントとソーンヒルは、退屈するとライターに見立てた携帯電話をかざして左右に振りながら、U2「ワン」のものまねをしていたという。しかしハウレットが温めていたインスト曲を耳にした時、フリントがヴォーカルを乗せたいと申し出たことをきっかけに、2人は共同で歌詞を書いた。ハウレットは「ファイアスターター」の構想を考えついたのは自分だと主張している。その歌詞はフリントのイメージと見事にマッチしていた。「やつは世間の常識を徹底的に無視するけど、実はすごく頭がキレるんだ」ハウレットはそう話す。「俺は自らを苦しめる精神の起爆剤」ってのはやつのことだよ。やつは頭がイカれちまう一歩手前まで、脳に何でもかんでも詰め込んじまうからな。あの歌詞はまさに完璧だった」

フリントは「自らを苦しめる」と「俺はお前が忌み嫌うクソ野郎」というフレーズが、自分自身のイメージにマッチしていると語る。「深い意味があるんだ」彼はそう呟く。「こういう場では言いたくないんだよ」彼はテープレコーダーに目をやってそう言った。「あんたに話すのは構わないけど、記事にされるのはごめんだ」

ーあなたの発言の端々にも現れていますが、あなたは自己嫌悪という感情の中にエネルギーと喜びを見出していると思います。

「その通りだ。まさにそれだ」

ー「俺はお前が忌み嫌うクソ野郎」、自分をそんな風に呼ぶ人間はそうはいません。

「そうだな。額面通りの意味とは限らないけどな」彼はそう話す。「あれにはすごくパーソナルで深い意味が込められてる。あの言葉でしか表現できない、強大な力が宿ってるんだ」

ーなぜ歌詞を書こうと思い立ったのでしょうか?

「言葉では説明できないな」彼はそう話す。「川はなぜU字型の湖となるのかっていう疑問と同じようなもんだ。6年間、俺はこの身体で自分のことを饒舌に表現してきた。オーケストラの指揮者みたいなもんだ。パーティーの場で自分のお気に入りの曲がかかった時、俺は周りの人間にそれが自分の大好物だってことを知らせてやりたいんだよ。歓喜の雄叫びを上げながら、狂ったように踊るのさ。俺にとって、歌詞を書くことはその延長線上にあるんだよ。別に何でもいいんなら、マイクを通して「ヒャッホー!』ってひたすら叫ぶね。それがパンクだし、DIY精神はプロディジーの重要な部分でもあるからな」

またその頃、フリントは見た目の面でも生まれ変わっている。鼻にボルトを通し、舌にピアスを刺し、トレードマークとなるヘアスタイルを確立した。「ほっとけよ」彼はそう吐き捨てる。「俺はバンドマンなんだ。やりたいようにやるさ」彼は自身のイメージが手に負えないほど肥大しつつあることを懸念しており、髪を真っ黒に染めることを検討している(彼は性器にピアスを開けることも考えている。その理由のひとつは、それが決して人目に触れないからだという)。彼は腹部にタトゥーを入れているが、その「Inflicted」の文字をデザインしたのはハウレットだ。その言葉は大衆から見た彼のイメージに他ならない。

Translated by Masaaki Yoshida

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