追悼キース・フリント:ザ・プロディジー絶頂期の秘蔵インタビュー「人生を楽しんで何が悪いんだ?」

1997年8月21日刊行、米ローリングストーン誌の第767号で表紙を飾ったザ・プロディジーのキース・フリント(Photo by Peter Robathan/Katz/Outline)


彼らの新作を聴いていると、ビースティ・ボーイズのデビューアルバムを思い出す。虚勢に満ちた楽曲には、「俺たちの言うことを真に受けるんじゃない」という暗黙のメッセージが宿っている。『ライセンスト・トゥ・イル』ツアーのダラス公演では、オーディエンスの大半が何もかもを笑い飛ばそうとするような、ビースティーズさながらのノリを見せていた。その一方で、本質を理解しない20パーセント程度の客(ほぼ例外なく男性)は、「スマック・マイ・ビッチ・アップ」が現代の女性蔑視のアンセムだと言わんばかりに叫んでいたことを覚えている。

「額面通りにしか受け取れない連中がいるってことなんだろうな」マキシムはそう話す。「女性は男性よりも劣っているなんて本気で考えていて、パートナーに日常的に暴力を振るうようなやつらのことだよ。そんな連中は俺たちの眼中にない」

「道徳的に正しくないことを口にする快感ってのはあるよ」フリントはそう話す。「心拍数が跳ね上がるようなね。子供の頃、差し込んだコンセントの電極に触りつつ、自分がどこまで耐えられるか試すっていう危険な遊びをやってたけど、あの感覚に似てるんだ」

彼が感電を経験したことはなかったという。少なくとも当時は。


1997年のライブ映像

それでもプロディジーは、ウォルマートに並ぶレコードでは曲名を「Smack My ***** Up」に変更することに同意した(同様に「Funky Shit」は「Funky ****」に変更された)。その効果は期待できるだろう。

一方、写真が大半を占めるCDのブックレットには以下のような記述が見られる。「我々はバターの味を知らないが、諸君に尋ねたい。バターと銃のどちらが重要か? ラードと鉄のどちらを輸入すべきか? 備えあれば憂いなし、それだけは確かだ。バターは我々を太らせるだけだ」ハウレットはその言葉を、数年前のクリスマスにレコード会社からプレゼントされた名言集から引用している。

言うまでもなく、プロディジーはいつものように我々を煙に巻こうとしている。その一節は(若干変更されているが)ナチ党員としてゲシュタポを創設し、1936年に投降したヘルマン・ゲーリングの演説の一部だ。

「アルバムのムードにすごく合ってると感じたんだよ」ハウレットはそう語る。「ナチの価値観に同調してるんじゃなくて、Bボーイカルチャーとの接点を見出したんだ。すごくパワフルで、同時にぞっとするような恐怖感を覚えた。バターか銃かっていうフレーズが頭から離れなくて、アルバムのイメージにぴったりだって思ったんだよ」

ゲーリングと同様に、プロディジーは銃を選択するのだろう。

「アティテュードの問題だよ。その意味について考える行為にこそ意味があるのさ。深く考えたわけじゃない、ただピンと来たんだ」

ナチ党人員の言葉を引用するバンドはそうはいないはずだという筆者の意見に、フリントは笑って同意する。

「まぁそうだろうな。そういう面も全部ひっくるめてプロディジーなんだよ。自ら進んで世間の顰蹙を買うっていうね。誰からも愛されるバンドなんてまっぴらだからな」

Translated by Masaaki Yoshida

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