ビースティ・ボーイズのSXSWスピーチ、10つのポイントまとめ

2006年以来13年ぶりにSXSWに登壇した、マイケル・ダイアモンドとアダム・ホロヴィッツ(Photo by Jack Plunkett/Invision/AP/REX/Shutterstock)

2018年に回想録『Beastie Boys Book』を発表したマイケル・ダイアモンドとアダム・ホロヴィッツは、故アダム・ヤウクと共に歩んだビースティー・ボーイズの軌跡についてサウス・バイ・サウス・ウエストのステージで語った。

2人がサウス・バイ・サウス・ウエストに参加するのは、撮影をファンの手に委ねたコンサートムービー『ビースティ・ボーイズ 撮られっぱなし天国』のプロモーションで訪れた2006年以来となる。あれから13年の間に、状況は文字通り一変した。

今年のSXSWの盛り上がりがピークに達していた先週金曜日、ビースティー・ボーイズのマイケル・ダイアモンドとアダム・ホロヴィッツの2人は、Austin Convention Centerでキーノートスピーチを行った。もう1人のメンバーであるアダム・ヤウクを2012年に癌で失った2人は、彼との思い出とバンド軌跡を綴った回想録『Beastie Boys Book』を昨年発表した。

Amazon Musicの代表を務めるNathan Brackettとの対談という形で行われたキーノートスピーチで、2人は『Beastie Boys Book』について語った。元ローリングストーン誌の編集者でもある同氏はビースティー・ボーイズと縁が深く、子供の頃にヤウクとはご近所同士だったという。気心の知れた人物を前に、ホロヴィッツとダイアモンドはジョークと豊かな見識を織り交ぜたトークを展開した。ビースティーズのレコードの特徴と言えるその絶妙なブレンド感は『Beastie Boys Book』においても健在であり、同書は一般的な自叙伝とは一線を画している。『Beastie Boys Book』は当事者しか知り得ない多くのことを明らかにしてみせたが、当日の2人はより多くの知られざる事実について語った。大盛況だったディスカッションのハイライトを以下で紹介する。

1. 2人はライブイベントを控えている(コンサートではない)

講演の終盤でダイアモンドとホロヴィッツは、4月にフィラデルフィアとニューヨークでトークイベントを開催することを明らかにした。『Beastie Boys Book』のトークイベントはこれまで各地で開催されてきたが、その締めくくりとなる両イベントの様子は盟友スパイク・ジョーンズによって映像記録として残され、後日一般公開される予定だという。

2. 皮肉っぷりは健在

Brackett氏は対談の冒頭で、ビースティーズへのインタビューは常に困難だと語った。アーティストの大半は自身の考えや主張について堂々と語るが、彼らはまるで異なるからだという。それに対してホロヴィッツは「一体何を知ろうってんだい? 笑えればいいじゃん」と返し、ダイアモンドは「ジャーナリストは一番オイシイ部分をよく見落とすからな」と同調したが、当日の講演ではそんな2人の個性が存分に発揮されていた。彼らはディープなトピックにも言及しつつ、マイク・Dの靴下を笑いのネタにするなど(2人はラッパーのキャムロンも標的にしていた)、会場のオーディエンスを大いに沸かせていた。皮肉は彼らの代名詞であり、それは『Beastie Boys Book』に登場する偽物らしき『イル・コミュニケーション』のネガティブなレビューにも現れている。あれは自らでっちあげたものなのだろうとBrackett氏が追求すると、ホロヴィッツはこう返していた。「Syncopation Magazineを知らない? それマジで言ってんの?」

Translated by Masaaki Yoshida

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