ビースティ・ボーイズのSXSWスピーチ、10つのポイントまとめ

7. リリックはいつも3人で一緒に書いていた

『Beastie Boys Book』でも明言されていたが、彼らは延々とループするトラックを聴きながら、3人で一緒にリリックを書いていた。大抵の場合、それはくだらないジョークの山に過ぎなかったが(ダイアモンドは豪快に笑ってこう言った。「俺たちって世間が思ってるほど利口じゃないんだよ」)、ヤウクは精神性と思慮深さをバンドに持ち込んだ。ホロヴィッツはこう語る。「あいつは何かと深かったからな。そういう影響を受けながら、俺たちはグループとして成長してきたんだ」ダイアモンドも彼の意見に同調する。「ビースティーズは俺たちにとって、学んだことをアウトプットする場だった」

8.  アルバムは瞬間を切り取ったようなもの

アドロックは「『ハロー・ナスティ』を制作してた頃、俺たちは無敵だった」と発言しているが、対談の場でBrackett氏は彼に、ビースティーズのアルバムの中で一番のお気に入りは同作だと断言させようとした。3人それぞれの個性が等しく反映された同作は、経験に裏打ちされた成熟を感じさせる作品だった。ダイアモンドはお気に入りのアルバムを挙げることはできないと話す。「自分たちのレコードはあまり聴き返さないんだ。アルバムっていうのは瞬間を切り取ったようなものだからさ」ホロヴィッツは自分が考えるバンドの魅力が詰まった「メイク・サム・ノイズ」をお気に入りとして挙げているが、曲が完成した時にヤウクの容体が既に悪化していたため、同曲は一度もライブで披露されていない。

9. 『ホット・ソース・コミッティ・パート2』における人工サンプル

「読者全員が細かい部分にまで目を通すわけじゃないからな」ダイアモンドのその発言は、『Beastie Boys Book』で明かされた驚くべき事実を指摘したBrackett氏に向けられたものだ。その事実とは、彼らの至近作である『ホット・ソース・コミッティ・パート2』で使用されているサンプルが、実際にはすべて録り直されたものだったということだ。彼ら自身はそのアイディアを大いに気に入っていたが、リリース当時は誰も気にかけなかった(或いは気づいていなかった)。ヤウクはそのアイディアに懐疑的であり、ホロヴィッツとダイアモンドが袋小路に迷い込んでいるのではないかと懸念するあまり、病院を抜け出してスタジオに様子を見に来たという。しかし最終的に、彼は2人のやりたいようにやるべきだと結論付けた。

10. フライドチキンはテキサスBBQに勝る

ビースティーズが前回テキサスを訪れていた際に、ホロヴィッツとヤウクはオースティン郊外のバーベキュー場でフィールドレコーディングを行ったが、結果的にそのサンプルが使われることはなかった。この驚くべき事実を明かしたダイアモンドは、そのバーベキュー場の正確な位置は伏せていたものの(車で行ける距離という点から、Salt LickかLockhartに点在するどれかだと思われる)、彼らがヒルカントリーの名物料理に失望したのは間違いないようだ。その一方で2人は、講演の冒頭で地元の人気店Lucy’s Fried Chickenの素晴らしさについて力説していた。

Translated by Masaaki Yoshida

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE