テクノロジー発展はアダルト産業から? 仮想通貨決済へ移行する風俗業界

IT業界の外部の人間には、ブロックチェーン技術の基本的な機能はいまだ分からないことだらけだが、ギャビーも指摘しているように、「セックスワーカーの中にはもう何年もビットコインを使っている人もいる」という。Strip 4 BitやXotica、Tits For Bitcoin、NSFW RedditのグループGirls Gone Bitcoinなどは、ビットコイン決済に対応しており、2015年から仮想通貨の実験場として活用されてきた。

ベイエリアを拠点に活動するセックスワーカー、マキシン・ドーガンは、活動家であると同時に風俗産業従事者組合の創設者。彼女はBackpage.comが閉鎖された後、サイトへの広告支払いをするためにビットコインの使い方や取引方法を独学で学び、スタートしたばかりの仮想通貨の取引市場を一人で開拓していった。クレジット会社や金融機関はアダルト産業に制限をかけているため、ドーガンは小切手でサービスの対価を受け取ることも、クレジットカードでインターネット広告の支払いをすることもできなかった。広告なしでは仕事も得られない。ドーガンが広告掲載を維持するために仮想通貨を利用したのは、必ずしも選択肢があったからではなく、むしろ生き残るためにやむを得ず取り入れざるを得なかったのだ。そのために無駄な時間を費やした。セックスワーカーにとっては時は金なりなのだ。「何時間も何時間も、タダ働き同然で仮想通貨とやらを勉強したの。いろいろリサーチしたり、会計処理のメカニズムを理解しようしたりね」

アダルト産業に端を発し、のちに男性の独壇場となったテクノロジーは仮想通貨が初めてではない。「インターネットの誕生だって、先陣を切っていたのは間違いなくアダルト産業です」というのはリー・キャロン・バトラー氏。アダルト産業に特化した決済トークンIntimateの情報主任を務めている。「webストリーミングを後押ししたのも、アダルトコンテンツや、アダルトコンテンツへのアクセス需要なんです」 最近でいえば、バーチャルリアリティが最初のブームを迎えたのも、セックスワーカーの仕事に発想を得、彼女たちの協力によって開発されたVRポルノからだった。「どういうわけか、IT業界の紳士方は私たちにこの手の手柄を与えるのが嫌みたいね」とグレイも言う。「男たちは、ああいうのを世に送り込んだのは自分たちなんだと、手柄を横取りして独り占めするのよ」

Translated by Akiko Kato

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