テクノロジー発展はアダルト産業から? 仮想通貨決済へ移行する風俗業界

仮想通貨やブロックチェーン技術の専門容疑にも精通するギャビーやグレイのようなチャットレディたちは、仮想通貨の普及に大きな影響力を持っている。「仮想通貨なんて聞いたことないというお客に、仮想通貨を始めてみたら、と勧めれば、かなりの人数になると思うわよ」とグレイ。だが、アダルト産業を成功事例として認めつつも、IT企業は仮想空間からセックスワーカーたちを締め出そうとしている。

2017年、Intimateは毎年開催される世界的なテクノロジーの見本市Web Summitに出展を申し込んだ。同社はアダルトサービスやチャットレディをオンデマンドで予約できるオンラインプラットフォームRendevuを発表したかったのだが、Web Summit側が出展を認めなかった。Webs Summitの代表者によれば、Web Summitのハラスメント禁止ポリシーは出展者、販売者、登壇者が会場内で性的な発言や性的画像を使用、または性的行為を言及するのを禁じているという。キャロン・バトラー氏はこのポリシーを、セックスを貶める行為だと考えている。「ようするに、『ここではセックスの話題はご法度』と言っているわけです。『風俗なんていかがわしい、ここは男の世界だ、ハードコアポルノの類は恥ずべきことんだ』と言っているにすぎません」

IT業界における性差別や風俗に対する風当たりのせいで、セックスワーカーたちは蚊帳の外。技術やプラットフォームの発展に手を貸してきた当人たちが締め出しを食っている、とグレイは言う。「SnapchatもTumblrも、みんな最初はヌード写真を掲載していたのよ。彼らがこれだけ広まったのも、ヌードのおかげ。それが何百万ドル規模の企業に成長したとたん、私たちは(利用するのは)ダメだっていうのよ」 ドーガンはこうした現象を、風俗産業が味わってきた長い歴史の通過点だとみている。つまり、新興企業がセックスワーカーたちを被験者にし、金づるとして利用するといういつものパターンなのだと。「世間での私たちの待遇に関して、大きな議論が起きている。その下地がようやくできてきたところよ」

SpankchainやIntimateといった決済サイトがますます成長を続ける中、一部のチャットレディたちは、財政面とキャリアのさらなる自立へ新たな希望を模索している。「Spankchainは先を行ってると思うわ」とギャビーは言う。「だって、業界にはびこる問題を解決しようとしているもの」 ギャビーにとって、Spankchainと出会ったことがキャリアの「転換点」となった。自分がSpankchainと関わることで、セックスワーカーによるIT業界への貢献がもっと認知されれば、と願っている。「私たちの力になりたいという人たちもいるの。世間が見向きもしないところに価値を見出す人がいるのよ」

訂正:この記事の初稿では、RendevuがWeb Summitへの出展を認められたと記載していたが、正しくは、出展申し込みをしたもののの出展は認められなかった。

Translated by Akiko Kato

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