THE NOVEMBERSが語る進化の背景「影響源はミック・カーン、KOHH、NIN、エンヤ」

THE NOVEMBERSの小林祐介、2019年3月20日に名古屋CLUB QUATTROで撮影(Photo by 郡元菜摘)


―活動はずっと地続きで、その中でこれまでも変化を繰り返してきた。ただ、今回の『ANGELS』での飛躍は非常に大きいと感じていて、当然『Hallelujah』とも『TODAY』とも違う。この音楽的な進化にはどんな背景があるのでしょうか?

小林:もともと僕は飽き性で、「完成させる」っていうこと自体があんまり好きじゃないんです。さっき言った通り、今回も「締め切りを決めて作った」っていうのが正直なところで、日々スケッチとか断片を作り続けるのが好きなんですよね。日記みたいなものというか。ただ、ベスト盤やライブ盤をリリースした中で、「自分たちの持ってるこの部分ってホントにいいな」っていうのが改めて見えたので、自分の作りたいと思った曲とバンドがもともと持ってる良さが自然と結びついて、こういう音楽性に着地したのかなって。

―「改めて見えた自分たちの良さ」っていうのは、具体的に言語化できるものですか?

小林:メンバー各々がセンスを発揮してる部分を改めて垣間見たっていう感じですね。例えば、高松くんが他のベーシストと違うのは、メロディーセンスがあって、ベースっていう楽器に縛られてないところ。なので、今回はもともと彼が持ってるメロディーセンスを起点に曲を作ってみようっていう視点が生まれたり。「こいつのいいところを見つけよう」みたいな、精神論的な話ではなく、「方法論が増えた」みたいなことですね。ケンゴくんのサウンドメイクを起点にしてみたり、吉木くんが人前で思いっ切り叩いてる姿を思い浮かべると、「これで一曲書けるな」って思ったり。

―非常にバンドらしい発想ですよね。

小林:昔は良くも悪くももっと精神論的なところに縛られてた気がします。「遊んでるうちに曲ができた」とかよりも、何となく頭にパッと浮かんだ啓示みたいなものを捕まえるっていう、そういうスピリチュアルな方が偉いと思ってたんです。でも、今回は変なバイアスからは解き放たれて、今目の前にいる人、目の前で起こってることとちゃんと向き合うと、自ずと作るものが変わっていきました。「何かを待つ」っていう時間は減りましたね。メンバーそのものや、メンバーの最初のアクションがヒントになることが多かった。それが今までと違うところです。


小林祐介(Photo by 郡元菜摘)

―ただ、「メンバーの良さを生かす」っていう発想だと、プリミティブな作品というか、単純に「THE NOVEMBERSらしい作品」に帰着してしまう可能性もあったと思うんです。でも、『ANGELS』は決してそうではないですよね。プログラミングの割合も増えているし、これまで以上のスケール感があって、バンドの良さを生かしつつも、まったく新しいところにリーチしたような感触があるというか。

小林:「メンバーの良さを生かす」っていう視点に縛られ過ぎないっていうのも前提としてありました。そこに縛られ過ぎると、今目の前に見えている理想を実現できないジレンマに陥る可能性もある。そこに関しては、やっぱり両方なんですよね。メンバーの良さを生かすんだけど、「これどうやったらバンドで演奏できるのかわかんないけど、閃いちゃった」っていうのもやりたい。で、「このメンバーならきっとそれを曲にできる」っていう信頼感もある。ないものねだりをするわけじゃないけど、理想は絶対失わない。二つの視点が常にせめぎ合ってましたね。



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