スコット・ウォーカーが死去、ボウイやトム・ヨークにも影響与えたアイコンの生涯

76歳で亡くなったスコット・ウォーカー(Photo by Dezo Hoffman/REX/Shutterstock)

シンガー/作曲家のスコット・ウォーカーが3月25日に亡くなった。享年76。ウォーカー・ブラザーズのメンバーとして日本でも愛され、その後のソロ活動でイギリスの音楽シーンに大きな影響を与えた、数奇なキャリアを振り返る。

ソングライター兼プロデューサーのスコット・ウォーカーは、パワフルなポップシンガーとして活躍後、アバンギャルドな冒険主義者となり、デヴィッド・ボウイ、トム・ヨークなどの歌い手に影響を与え、76歳でその生涯を閉じた。ウォーカーの所属レーベル、4ADがミュージシャンとしての人生と功績を称えるコメントと共に彼の死を公表した。

「深い悲しみをもってスコット・ウォーカーの死をお伝えする」で始まる4ADのコメントは次のように続く。「ノエル・スコット・エンゲルとして誕生した天才的な男は、半世紀に渡って何千という人々の人生を豊かにしてきた。最初はザ・ウォーカー・ブラザーズの3分の1として、のちにソロアーティスト、プロデューサー、コンポーザーとして、不屈のオリジナリティを世間に披露してきた。スコット・ウォーカーはイギリスの音楽シーンの最前線に立つユニークで、挑戦を厭わない巨人だった。大胆で探求好きな彼は果敢にも、人間の弱さとそれを取り巻く無神的な暗黒を深く追求する作品を数多く作った」



1943年に誕生したウォーカーは、ウォーカー・ブラザーズとしてジョン・マウス、ゲイリー・リーズとともに人気を博した。イギリスではビートルズのライバルと目されていたこのグループは「涙でさようなら(原題:Make It Easy On Yourself)」や「太陽はもう輝かない(原題:The Sun Ain’t Gonna Shine Anymore)」など、数多くのヒット曲をリリースしている。




グループ解散後もウォーカーはソロアーティストとして活動を続け、『スコット』、『スコット2』、『スコット3』、『スコット4』とアルバム4枚をリリースしたのち、ウォーカー・ブラザーズを再結成して、グループ最後の作品をリリースした。

2012年のソロ作品『ビッシュ・ボッシュ』、2014年のSunn O)))とのコラボ作品『Soused』、2018年のナタリー・ポートマン主演のドラマ映画『ヴォックス・ルクス』のサウンドトラックなど、近年のウォーカーは活発に多くの作品を発表していた。


2010年に日本公開された伝記映画『スコット・ウォーカー 30世紀の男』予告編。デヴィッド・ボウイが製作総指揮を務め、ブライアン・イーノやレディオヘッドなど多くのミュージシャンがウォーカーの魅力を語っている。

Translated by Miki Nakayama

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