ボブ・ディランの孫・パブロがフォークシンガーへ転身 その野望を語る

ーツアーに出ることを楽しみにしていますか?

アメリカのオーディンエンスの前で演奏することほど光栄なことはないと思ってる。僕はライブが何よりも好きなんだ。カリフォルニア以外の場所でショーをやって、行ったことがない場所を訪れるのを楽しみにしてる。街や人々の本当の魅力っていうのは、インターネット上の書き込みなんかじゃ伝わらないからね。

ーボブ・ディランの孫という理由だけで足を運ぶオーディエンスへの懸念はありますか?

そういう人がいたとしても、僕にはどうすることもできないからね。ステージに立つのは祖父じゃなくて僕なんだから。ショーの最中にヤジを飛ばされたこともあるよ。そいつに言ってやったけどね、「黙るか出ていくかどっちかにしな」ってさ。

ーその人物はどんなヤジを飛ばしたのですか?

くだらないことさ。「あの曲を演れよ」とかさ。

ーあなたの祖父の曲を演れと?

その通り。

ー傷つきましたか?

まさか。会場にいた他の人はみんな、僕の言葉に耳を傾けてくれてたと思うよ。そいつは1人で来てたんだけど、一体何しに来たんだって感じだったね。

ーそういった出来事にはもう慣れていると?

僕の宿命だからね、受け入れるしかないさ。君はそんな人じゃないけど、ジョン・キーツはジャーナリストに殺されたんだ。バイロンも評論家受けが悪かったしね。この国に限らず、才能ある人物は世間から追い詰められてしまいがちなんだよ。



ーいつの時代も、芸術作品は数百年遅れて評価される傾向があります。

ポーなんて文無しで、道端で呑んだくれてたからね。(F・スコット・)フィッツジェラルドは、この世を去った時には全ての著書が絶版になってた。そういう話を聞くたびに胸が痛むよ。芸術がかつてない影響力を持っていた時代において、彼らはアメリカ屈指の才能だったんだからさ。

ーあなたは生涯を音楽に捧げると決めていますか?

もちろんだよ。音楽は僕の根底にあるものだからね。それが自分にとってどれだけ重要か、言葉にするのは難しいけどさ。真夜中に急に目が覚めて曲を書いたり、何か他のことをしてる最中に曲のアイディアが降りてきて、何もかもそっちのけになって没頭するようなこともあるよ。アーティストはみんな、自分が作品を生み出す理由を説明できないんじゃないかな。さっきも話題に上ったけど、作り手が亡くなってから作品に対する評価が付いてくることって多いし。だからアーティストにできることといえば、持てる力をすべて注ぎ込んだものを残すことだけなんだよ。

Translated by Masaaki Yoshida

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