『ゲーム・オブ・スローンズ』最終章を迎える前に知っておくべきこと

だが、壁の向こうの戦いでは死者も出た。ソロスが犠牲となり、ジョンの“7人の侍”は6人になってしまった。長年消息が途絶え、亡者となっていたジョンの叔父ベンジェン・スタークは甥を守ろうとして(再び)命を落とした。最後の最後でデナーリスが3頭のドラゴンを引き連れ救出に現れるも、夜の王はそのうちの1頭ヴィセーリオンをいったん殺したあと、蘇らせて自らの最強兵器と変えた。

だが、善人たちは必要なものも手に入れた。彼らが捕らえた亡者の1人は、死者の軍団が実在することを証明した。デナーリスとジョンが軍を結集させることで合意したため、北部にはトップクラスの頭脳集団が加わった。ウェスタロスいちの切れ者ティリオン・ラニスター、ユーモアのセンスを備えた心優しき宦官諜報大臣ヴァリス、奴隷の身分を解かれてデナーリスの参謀に加わったミッサンデイ、穢れなき集団の指揮官グレイ・ワーム、そしてひそかな使命を胸にエッソスを目指して東へ向かう“紅の女”ことメリサンドル。



一方ウィンターフェルでは、サンサ・スタークを筆頭に、兵士として訓練を受けた妹のアリアと、超能力を持った“三つ目の鴉”こと弟のブランが奇妙な三頭政治を行っていた。彼らは国中から血気盛んな人材を集めることに奔走していた。その中には、北部人の代弁者である気性の激しいリアナ・モーモント、彼女の仲間で同じく幼くして家を継いだアリス・カースタークとネッド・アンバー、ヴェイルと呼ばれる地の最高幹部ヨーン・ロイス、通称“ブロンズ・キング”や、忠誠心から従者ポドリック・ペインとともにウィンターフェルへやってきた危険な兵士、タースのブライエニーなどがいた。

ひとつ名前が抜けているのにお気づきだろう。そう、“リトルフィンガー”ことピーター・ベイリッシュだ。生まれながらの策略士もついに、スターク姉弟を反目させようとして度が過ぎてしまった。ブランのテレパシーと助言役のおかげでサンサとアリアは彼の企みを見破り、無数の罪で彼を処刑した。

もちろん、弟のブランは宮廷の中をはしゃぎまわるだけでは収まらない。“三つ目の鴉”はサムの力を借りて、ジョンが本当の兄ではないことを知る。それどころか、自分が亡きレイガー・ターガリエンとネッド・スタークの妹・リアナの間に生まれた嫡出子であり、自分こそがエイゴン・ターガリエン6世だった、云々。つまり、彼が恋したデナーシスは彼の叔母……しかも彼のほうが身分が高く、鉄の王座の正統な後継者にしてウェスタロスの王になるのだ。なんて複雑なんだ!

Translated by Akiko Kato

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