坂本:そういう感じなんだ。あと、アイドルとかと対バンしたりしているんでしょ?
スギム:めっちゃ多いわけではないんですけどね。増えましたね。ドルオタって祭りみたいな一体感を求めるんですよ。今まで祭りみたいな曲は作ったことがなかったし、作ろうとも思っていなかったんですけど、今回のアルバムには祭りの要素を入れました。それは「夜行性の生き物三匹」を参考にしたんですよ。
坂本:ほんとに?
スギム:2拍子を。
坂本:あれ2拍子なの?
スギム:2拍子じゃないんですか?
坂本:あれ、2拍子って言うのかなあ。
スギム:阿波踊りのリズムって2拍子らしいんですよ。
坂本:あ、そうなんだ。アイドルのファンたちにどういう受け入れられ方してるんですか? クリトリック・リスは。
スギム:始めの頃はクリトリック・リスって名前が卑猥だと捉えられて、近づくなって感じやったんですよ。楽屋でも「あいつに近づけるな」って。
坂本:でしょうなあ。
スギム:でしょうなあ、じゃないですけど(笑)。ちょっと大きなフェスで対バンをした時、有名なアイドルグループの子にマイクを向けて「クリトリック・リスって言ってみてよ?」って言ったことが炎上したんですよ。許さんみたいな。
坂本:殺すみたいな?
スギム:殺すまでは言われてないですけど(笑)。割と怒られたんですよ。でも、それから何年か経って、僕もほんまの変態やないし、アイドルに危害を加えないってことが分かってもらえてからは、逆にアイドル現場を卒業したり推しを失ったオタクがクリトリック・リスに流れて来るようになって。
坂本:金脈掘っちゃったみたいな?
スギム:そう。だからというか、酔っぱらいのお客さんも多いですね。
坂本:すごいところを見つけましたね。それは自分からアピールしたわけ? アイドルファンに嫌われないように。
スギム:いや、逆にアイドルオタクをディスるような曲を作ったりしたんですけど、それすら受け入れられちゃって。若いお客さんってお金を持ってないじゃないですか。逆にアイドルオタクって僕らぐらいの50歳とかの人も多くて暇とお金を持っているし、お客同士の結束が強くて集客に繋がるんですよね。バンドが好きな若いお客さんも来るんだけど、現場でのアイドルオタクの主張が強いので、目立っちゃって。
坂本:同世代のおじさんってことでしょ?
スギム:そうです。裸の禿げたおっさんを、40代、50代のおっさんが観に来るんですよ(笑)。そういう日ばっかりじゃないんですけどね。
―最初、野音のチケットもホームページ先行で受け付けたんですけど、「来年まで生きていたら行きます」ってコメントが多くて。
坂本:命がけなんですね。
スギム:命がけ(笑)。
坂本:そういう人が集結する訳ね。