ボズ・スキャッグスが語るAOR黄金期、ブルースの再発見「ヨットロックは大嫌いだ」

ボズ・スキャッグス(Courtesy of UDO)

今年5月より約4年ぶりの来日公演をスタートさせるAORの帝王、ボズ・スキャッグス。今回の来日と全米ソロ・デビュー50周年を記念して、日本独自企画の最新べスト盤『グレイテスト・ヒッツ -ジャパニーズ・シングル・コレクション-』も本日4月24日(水)にリリース。彼が最新作『アウト・オブ・ザ・ブルース』や、ニール・ヤングのカバー、70年代の栄光と失速、レディオヘッドのファンになった経緯などを語った、米ローリングストーン誌による2018年のインタビューをお届けする。

ボズ・スキャッグスは当たり前なことなど皆無だと思っている。自分の声は特にそうだと言う。最近終えたツアーでは、毎日サウンドチェックの前に声帯の調整をしていた。6〜7分間、「オー」や「アー」と声を出し続けて、喉に最大限の負荷をかけてから緊張を解くという方法だ。「例えるなら、声でウェイトリフティングをするようなものだね」とスキャッグス。現在74歳の彼は「過去を振り返ってみると、今が一番声のケアをしていると思う」と言う。

今回のツアーでのスキャッグスの声を聞く限りは、「リド・シャッフル」や「ロウダウン」など、彼のランドマーク的な1976年のアルバム『シルク・ディグリーズ』を聞いて育った世代には馴染みのしなやかで心地いい歌声は健在だ。しかし、最新アルバム『アウト・オブ・ザ・ブルース』を引っさげてのツアーで、スキャッグスはブルースとR&Bのオリジナル曲に加えてカバー曲を披露しながら、デュアン・オールマンとの壮大な曲「ローン・ミー・ア・ダイム」を掘り下げたりしている。



こういった振れ幅の広さは、半世紀を超える長いキャリアに加えて、スキャッグスがあらゆるジャンルを網羅してきたことによってもたらされたと言える。オリジナルのスティーヴ・ミラー・バンド(彼らは50年代後期にテキサス州の私立学校で知り合った)在籍中のサイケデリックな音楽をやっていた若い頃から、ソウルとブルースを取り入れた初期のソロ・アルバムを経て、ポップスへと舵を切ったアルバム『シルク・ディグリーズ』と、スキャッグスは音楽風景を縦横無尽に旅しながら、一聴してわかる音楽性と声ですべての作品に確固とした統一感を持たせてきたのだ。

スキャッグスは現在、とても生産的な心持ちだという。2003年の『バット・ビューティフル』で始まった、ソウル、スタンダード、R&B、ブルースに特化したアルバム制作に没頭し、それぞれのジャンルの無名の名曲を掘り起こした。ローリングストーン誌は、音楽シーンにボズ・スキャッグスという音楽体験を切り開いたロック・レジェンドに近況を聞いてみた。

Translated by Miki Nakayama

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