―それでは、アルバム『アウト・オブ・ザ・ブルーズ』の収録曲を例に、(選曲の妙について)教えてもらえますか?
そうだね、(ブルースピアニスト兼シンガーのジミー・マクラフリンの)「アイヴ・ジャスト・ガット・トゥ・ノウ」は3〜4年前にフィルモア(・オーディトリアム)でロス・ロボスに提案された曲だ。彼らに参加を依頼され、デヴィッド(・イダルゴ)だったか、ルイ(・ペレス)だったかが、一緒に演奏する曲として提案した。私としては、彼らに言われるまでこの曲の存在に気づかなかったのが不思議なくらいだよ。とにかく、この曲を一緒に演奏したら、自分に合っていると実感した。そこでいつか使おうと温めていたんだよ。
―ニール・ヤングの「オン・ザ・ビーチ」はどうですか?
息子のオースティンが数人のパートナーと一緒に、彼らが尊敬するミュージシャンを讃えるコンサートを企画して、大勢の参加者を集めてこのコンサートを何度か開催した。そこでは彼らはニール・ヤングの一連の楽曲を取り上げたのだが、私に持ってきたのが「オン・ザ・ビーチ」だった。これはマイナー・ブルースで、私の好きなスタイルの楽曲だと彼らは確信していたよ。そこで、コンサート当日の午後にこの曲をリハーサルしたら、あっという間に私と結びついたんだ。電撃的だったし、いつかこの曲をレコーディングする機会があると感じたね。このブルース・アルバムの中では少し型破りだったが、私たちの選曲基準に合っていたし、この曲自体がとにかく見事としか言いようのないものなんだ。常に自分の身近にあって、あるとき突然ガツンと殴られるような衝撃を受ける曲を見つけて収録できて嬉しい。最高の気分だよ。
―ニールの音楽をそれほど知らないとうかがいましたが……。
そうなんだ。私たちはふたりとも同じ時期に西海岸で活動し始めたし、ニールのことも、彼の作品も知ってはいた。しかし、私はR&Bの方に意識が向いていたからね。彼のことは長い間、非常に高いレベルで意識はしていたけど、彼の音楽を演奏したことも、彼に会ったことも一度もなかったんだよ。
―アルバムに収録した楽曲について彼から連絡はありましたか?
いや、なかった。シャンパンも送られてこなかった(笑)。彼の感想はわからずじまいだよ。