RADWIMPSインタビュー「野田、桑原、武田が語るバンドの歩みと現在地」


野田洋次郎がたどり着いた「バンド像」

ー野田さんが作ったものとか、野田さんが「YES」と言ったものに対して、2人は「これはちょっとダサいんじゃない?」みたいになることってないんですか?


野田:たしかに、それ聞きたい。周りの人からもたまに聞かれるんだよね。

武田:それはないなぁ。

野田:ないの? ダメ出しとか、歌詞こうしようよとか。

桑原:「聖域」みたいな感じになっているのかもしれない。そこはもう完全に、100パーセント信用していますね。

野田:たしかに、ある日突然くわに言われたらびっくりするかも。「じゃあなんて書いたらいいの?」って、逆に聞きたくなる(笑)。

桑原:漢字の間違いくらいしか言えない(笑)。

ー桑原さんの野田さんが作るものに対する絶対的な信頼は、結成から今までの17年間、ずっと揺るぎなくあるんですね。

桑原:それは武田も含め、そうですね。

野田:ありがたいですね。俺はずっと、ちょっと違うバンド像を目指していたんです。「全員が無敵」みたいな。最強の布陣で最強のバンドを目指していたけど、それを目指していたら精神的に破綻して。みんなが、それぞれ1回ずつぐらい、「洋次郎、本当にごめん。もう俺、このバンドの足を引っ張るから辞めるね」ってなって、それで考え方を変えたんです。そこからより引き受けるようにしたし、今まで目指していたバンドを1回諦めて、捨てて、この4人だからできるバンド像を目指そうと思って。そういうことを経て今の仕組みにたどり着いたし、当時気付けなかった部分も含めてなるべくいいところを抽出するようにしたし。できてないところを見過ぎないようにしよう、できるところのなかで最大の効果を発揮する何かをやろうって。昔は、大前提として曲作りの段階から一緒にやりたいという気持ちがあったんですけど、曲は圧倒的に自分が責任を持って作る、という切り替えをして。

ーそうやって切り替えられたのって、いつ頃ですか?


野田:『絶体絶命』(2011年3月リリース)あたりからじゃないですかね。だから6、7年前に、バンドを続けることを選んだんです。

ーそれは逆に言うと、RADWIMPSを終了させるという選択肢が、なきにしもあらずだったということですよね?

野田:そうそう。もともとのバンド像を追いかけ続けていれば、違うバンドをやっていたのか、終わっていたんだろうなって思いますよ。

ーそのとき、そちらの選択肢を選ばず、RADWIMPSを続けることを選んだ理由は?


野田:なんですかねえ……もうみんな結婚してたからじゃないですか?(笑)

武田・桑原:(笑)。

ーえ、そんな現実的な答えでいいんですか?(笑) まあもちろん、生活も大事ですけど。

野田:(笑)。一緒にやり続けたいなって、単純に思ったんだと思いますね。一緒にいることを第一に選んだのだと思う。


Photo by OGATA for Rolling Stone Japan

ーたとえばillionで他のプレイヤーと一緒にやったりして、それを経てまたRADWIMPSに帰ってくると、武田さんと桑原さんの個性が見えてくるところもあったりします?

野田:めちゃめちゃありますよ。他をやってると余計にめっちゃ気付きますね。やっぱり2人が入らないとRADWIMPSにはならない、それは間違いないです。最近は2人に預ける部分も増えてきたし、俺が他もやっているぶん、アレンジの部分で絶対的に2人の要素が入らないとRADWIMPSとしての意味がないと思っていて。2人が入ると、「なるほどRADWIMPSっぽいな」って思ったりしますしね。でも桑原が同じことをやり続けると、「いやそれもういい加減飽きたわ」ってなるときもある(笑)。「しかもそれ、俺の真似して始めたやつだろ?」って(笑)。

桑原:このなかでパクリ合いしてます。あ、パクリ「合い」じゃないか、パクってる(笑)。

ー(笑)。バンドとしてのRADWIMPSを語る上で山口(智史)さん(Dr/2015年9月より無期限休養中)のことは避けて通れないと思うんですけど。『ANTI ANTI GENERATION』にも、音としては入っているんですよね?

武田:4曲目「IKIJIBIKI feat.Taka」と、6曲目「洗脳」ですね。「洗脳」は、サンプリングという形ですけど。

ー今あらためて振り返ってみると、山口さんが休養に入ることになって『君の名は。』の劇伴制作やツアーを3人で乗り越えてきたことが、3人の結束力を一段と強めたと思いませんか?

武田:めちゃくちゃあると思いますね。

野田:細かいことを言っていられなくなったよね。家族にピンチが訪れるとケンカしてる場合じゃなくなるじゃないですか。外に向かって達成しなきゃいけないものがあると、どうしたってそうなりますよね。

武田:当時は智史のことですぐに動かなくちゃいけなかったし、メンバーの3人がそれぞれバンドのために何ができるかを自分で考えて進めていた感覚があって。そのなかで結びついたものがあったと思いますね。それまで、あんまり桑原としゃべってなかったかもしれないもんね。

桑原:そうだね(笑)。

野田:武田と智史がやりとりしてたもんね。あとはもう、とにかくサポートの2人がいなかったらすべて始まってなかったから大感謝だし、本当に奇跡的に綱渡りで続けてこられたなと思っています。

武田:うん、本当に奇跡だった。

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