RADWIMPS 野田洋次郎が見てきたポップカルチャーの原風景

RADWMIPS 野田洋次郎(Photo by OGATA for Rolling Stone Japan、Styling by Daisuke Fujimoto、Hair and Make-up by Asami Nemoto)



手塚治虫作品から得た絶望感と輪廻感

ー決しておべっかなどではなく魅力的な芝居をしていたと思います。

野田:ほんとですか? ありがたいです。でも、最初だからというのもあるんだろうね。何もわからずに芝居してる人ならではの感じというか。

ーリリー(・フランキー)さんの存在も大きかったんだろうなって。

野田:ほんとにデカかった。リリーさんがいなかったら全く違ってたと思いますね。あの人はそこにいるだけでメッセージを伝えてくれる人なんです。リリーさんと一緒に芝居をすることで「これもセッションだな」って思えたし。特に2人のシーンが多かったから。

ーラストシーンもまさにセッション性を感じられるシーンですよね。

野田:そうそう、あのシーンはほんとに2人だけの芝居だったから。俺が緊張しているのをリリーさんもわかってるから、どこまでも柔らかい空気で包んでくれたし。助けてもらいましたね。

ー今後も役者のオファーがあったら応えたいと思いますか?

野田:そうですね。でも、しばらくは音楽の宿題がたんまり溜まってるから。まずはそっちかなって感じですけど(笑)。

ーでも、音楽以外のアウトプットができたのは洋次郎くんにとってすごくポジティヴに作用しているんだろうなと思いますね。

野田:そう思います。違うフィールドの人たちと接しているだけで自分の中の空気が相当入れ替わるから。バンドだけでやってた10年間は、仕事に行ってもバンドのメンバーとしか会わないし、空気の入れ替えがなかなかできなかったんですよ。もちろん、それがいいときもあるんですけどね。それでもやっぱり1回自分の中の空気をごっそり入れ替えることができるのはすごくありがたいと思います。

ー漫画もけっこう読みますか?

野田:最近は全然読まなくなっちゃったけど、昔は漫画を読むのが大好きだった。小学校のときに帰国して住んでた家は本屋が目の前にあって。そこで漫画をよく買ってました。でも、今は全然読まなくなっちゃいましたね。スマホとかで漫画を読む習慣もなくて。そういう習慣があれば違うんでしょうけど。

ー最初にどハマリした漫画はなんでしたか?

野田:小学校でいろんな漫画を読むようになったんだけど、その前に親父が『火の鳥』とか『AKIRA』が大好きで。ずっと自分の部屋の本棚にあるから、4、5歳くらいから意味もわからず読んでました。それはルーツとして大きいと思う。

ー内容は咀嚼できないけど。

野田:そう。でも、すごく衝撃的だったのは覚えていて。特に手塚治虫さんの影響はデカいですね。

ーそれこそ『トイレのピエタ』は手塚さんが亡くなる前につけていた日記の最後のページに書かれていた構想が原案になってるわけで。それを思うとすごい話ですよね。

野田:ほんとに不思議な感じ。手塚さんの作品はほとんど読んでると思う。なんだろう? 手塚さんの作品には絶望感を教えてもらったという感覚があるんですよね。あとは、輪廻感とかね。『火の鳥・未来編』では一生死ねない身体になってしまった主人公が出てくるじゃないですか。あの絶望感、孤独を生々しく教えてもらった。

ー間違いなくそれは歌詞の筆致にも反映されてますよね。

野田:すげぇあると思う。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のレベルではないくらい、『火の鳥』はすべての時代を網羅してるじゃん?(笑)。ウルトラ未来もあるし、縄文や弥生時代の話もあって。宇宙もあるし。そういう世界を誰よりも先に描いてるからちょっとすごすぎますよね。

ーあらためて、洋次郎くんにとってお父さんの存在ってすごく大きいですね。

野田:親父からすごく影響を受けてますね。たまたまとは言いつつ、俺の部屋の本棚に『火の鳥』とかを入れておくセンスがね(笑)。

ーそれは「読めよ」っていうメッセージだったのかもしれないよね。

野田:どうなんだろうね。やっぱりそうだったのかな?(笑)。でも、トイレにはなぜか『ぼのぼの』とか『What’s Michael!?』を置いてくれてた(笑)。ああいうのもありがたかったな。

ー前作『人間開花』には「週刊少年ジャンプ」という曲もありましたけど。

野田:それはもう、俺らは『ドラゴンボール』世代なので。『幽☆遊☆白書』とかもそうだし。あらゆるジャンプ作品を読んでました。

ージャンプの黄金期でもあったし。

野田:ロスに住んでいたときは日本人スーパーマーケットみたいなところがあって、そこに一応『ドラゴンボール』の単行本とかも売ってるんだけど、1200円くらいするから。

ー小学生にとっては高額だよね。

野田:当然買ってもらえないよね(笑)。だから帰国したときに『ドラゴンボール』を読めたのはうれしかったですね。あとは『キャプテン翼』とか『BECK』とか、『るろうに剣心』とか。いっつも漫画を読んでましたね。でも、高校生になってバンドを始めたりする中でちょっとずつ漫画から離れていったんだけど。そんな中でも、作品性が多様化していく日本の漫画って面白いなと思ってましたね。浅野いにおくんの独特な作家性とかもいいなと思って。今もそうだと思うけど、作品の幅が広がっていくのはジャンルとして面白いなと思いますね。

ーファッションについても聞きたくて。洋服も好きですよね?

野田:好きなほうだとは思いますね。

ーさっき話しに出たジョニオさんしかり、ファッション関係の繋がりもけっこうあるだろうし。

野田:ああ、そうですね。でも、ちゃんとファッションとして服をいいなと思い始めたのは、自分のお金で好きなブランドの服をある程度買えるようになってからで。それまでは古着とか、いつも同じ服を着てた気がする。

ーライブで着る服も?

野田:そう。ライブがあると新しいTシャツを買うくらいで。なんとか音楽でお金をもらえるようになった19歳、ハタチくらいから服を買うことにのめり込んでいきましたね。

ースタイリストさんがリースしてくれた服をいいなと思ったり?

野田:そうね。でも、最初の頃はスタイリストさんに服を着せられるのが苦手で。デビューしてから7、8年は私服が多かったんですよ。

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