ロジャー・ウォーターズとニック・メイソン、2006年に演奏した「タイム」を回想

Steve Maisey/REX/Shutterstock

2006年、元ピンク・フロイドのメンバーが行ったのはバンドの再結成ツアーではなく、2つの競合する陣営にわかれてのツアーだった。

先日ニューヨークで行われたニック・メイソンのソースフル・オブ・シークレッツのコンサートに、ロジャー・ウォーターズが登場して「太陽讃歌」を歌い、ファンを唖然とさせた。「私たちは非常に仲が良くて、古くからの友人なんだ」と、ウォーターズが観客に向かって言ったあと、「ところで、ニック、このライブは素晴らしいね。見ながらいろいろ考えて思ったけど、君はあの頃よりもずっと上手くなっているよ」と続けた。

このサプライズ共演は、2011年5月12日にロンドンでウォーターズが行っていたザ・ウォール・ツアーに、メイソンとデヴィッド・ギルモアがジョイントして以来である。2011年のこのロンドン公演では、ギルモアがギターを演奏し、「コンフォタブリー・ナム」を歌ったが、メイソンが登場したのはコンサート終盤の「アウトサイド・ザ・ウォール」の最後で、タンバリンを鳴らしただけだった。しかし、このとき、存命している元ピンク・フロイドのメンバー3人が同じステージに立ったのである。

2005年にはメンバー間の確執を克服し、再び集結してツアーを行う動きが出ていた。実際に、同年7月にはLIVE 8(ライブエイト)で短いセットを披露しており、その後、地球上のあらゆるスタジアムを押さえると思われたが、実現には至らなかった。数カ月後、ウォーターズはローリングストーン誌に「リハーサルで問題が起きたら、どんな些細な意見の相違であっても、逆らわないようにしようと決めた。実際に逆らわなかったよ。しかし、1日ならなんとかなるが、ツアーの間ずっと我慢するのは到底無理だった」と語ったのである。

翌年、デヴィッド・ギルモアは1994年にピンク・フロイドを解散してから初のソロ・ツアーを開始した。このツアーにキーボーディストのリチャード・ライトを参加させて、ピンク・フロイドのクラシック曲を多数披露したのだった。一方、ロジャー・ウォーターズも同じ年にツアーを始め、アルバム『狂気』をそっくりそのまま演奏した。当初、この年にツアーに出ない唯一のメンバーがニック・メイソンと思われたが、ウォーターズが要所要所でメイソンをゲストに招いて登場させた。今回紹介するのは、ウォーターズのツアー中の2006年6月29日にアイルランドのコークで彼らが演奏した「タイム」の動画だ。

Translated by Miki Nakayama

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