ショーン・ポールが語るJ.バルヴィンとの共演、レゲエとレゲトンの関係、Zeebraへのシンパシー

ーJ.バルヴィンはラテン、というか“レゲトン”を代表するアーティストですが、“レゲエ”を代表するあなたにとって“レゲエ”と“レゲトン”はどのような関係なのでしょうか?

レゲエは数多く様々な影響を受けてカタチになった音楽なんだ。俺らの島のモットーは、「たくさんの人種から成る一つの国民」っていうぐらい、小さな島でもたくさんの人がいて、世界のいろんな所から大きな影響を受けてきた。だから、それが音楽にも表れてる。レゲエにはいくつか種類があって、まず一つ目はメント。これは、俺の耳にはソカにちょっと似て聴こえる。それがロックステディに発展して、それがレゲエへと発展していったんだ。そして、レゲエは世界で最も有名なジャマイカの音楽として知られるようになる。偉大なボブ・マーリーもこのジャンルの顔になってるよね。

で、レゲエがそうやって大ヒットすると、ジャマイカでは他のコトをやるようになった。それがダンスホールさ。この音楽が聞ける場所にちなんでこう呼ばれるようになったんだ。レゲエとダンスホールはすごく親しい関連性があるわけさ。俺は、“レゲエが親父、ダンスホールが息子”だって思ってる。レゲトンはもう一人の息子かな。アフロビートやソカもだね、最近は。15年ぐらい前のアフロビートを聴いてみると、今のサウンドとは全く違う。俺らがダンスホールとしてやってきたことが、年々と影響してるんだろうな、って俺は考えてる。トリニダードのカーニバル音楽であるソカも、この15年ぐらいで、すごく俺らみたいなサウンドになってきた。以前と比べると、歌う代わりにもっとラップを入れるようになってるし。カリブの、ちょっと訛りのある英語を使ってね。今こうやって挙げたジャンルはどれも、お互いすごく近い存在だと思うよ。アフリカやら、ヨーロッパやら、いろんな所から受けた影響をブレンドしていくうちに、だんだんと似たサウンドになってきたんじゃないかな。もちろん、まず最初にレゲエがダンスホールへと変化して、ダンスホールがポップシーンで人気を博して、2000年代初期にレゲトンが聴けるようになって、っていう40年ぐらいに渡る話をしてるわけだけど。いろんなタイプのアーティストが登場して、今度は彼らがいろんな人にインスピレーションを与えて、さっき言ったみたいに、ソカやアフロビートが似てきたっていう。スゲえなって思うね。

ただ、俺らの貢献がちゃんと認められてないって一面もある。例えば、俺がいきなりカントリー&ウェスタンをやることにしたら、俺だったら「これは俺の新作アルバムだ」なんて表現はしない。「これは俺なりのカントリー&ウェスタン・アルバムだ」って言うさ。すでにしっかり確立されたジャンルだから、ウィリー・ネルソンやドリー・パートンみたいな人たちに対してのリスペクトを忘れるわけにはいかないからね。でもポップ・アーティストが、同じようにダンスホールやレゲドンと接してるかというとさ……。だから、当然の敬意ってのが得られてないことが多い。誰のせいだ、なんては思ってない。これは単に俺らがすごい人気になった結果だと思ってる。でも、だからこそ、歴史の話をしたくなる。ボブ・マーリーが国民的ヒーローとされている、ジャマイカ育ちの俺から見た歴史をさ。彼は、俺らのために高速道路を築いてくれた人だしね。

ーあなたは、今もジャマイカに住んでいるんですか?

ああ。俺はジャマイカ生まれだしさ。両親は国代表の水泳選手で、俺も5才の時から人に水泳教えるぐらいだったんだ。14〜24才ぐらいまでは、俺も水泳とウォーターポロでジャマイカ代表やってたんだ。そういう面で、俺は愛国心あるしさ。今やもうそばにいない人や、俺のことを嫌ってる人間、大したアーティストじゃねえなって思ってる人だっているけど、そういう人たちがいてこそ、今の俺があると思うんだよ。だから、そんな自分の国の歴史に携わっていたいと思うんだ。悪い面もたくさんあるけど、美しく素晴らしい面も本当にたくさんある。俺は、自分という土台を使って、ジャマイカのそういう素晴らしい部分を世の中に発信したい。それが自分にとっての義務だと思ってるんだ。



ー一時、メインストリームでは少し下火になっていた感もある“レゲエ”という音楽も、先ほどの“レゲトン”等と共に復活した感がありますが、あなたはどう感じていますか?

そうだね。俺とは違うジャンルの人にはそう思えるかもしれないけど、俺とかは、12〜13才の頃、本格的にやり出す前からダンスホールに魂を注ぎ込んで生きてきた人間だからね。世界的には盛り上がってなかったかもしれないけど、俺は今と同じぐらいのめり込んでたよ。だから、それはその人の興味によってじゃないかな。

カリブ海のフランス系の島にはズークっていう音楽があるんだけど、俺の耳には時々入ってきては、また静かになって、って感じなんだな。でも、あそこに住む人たちや、ズークが好きな人にとっては、いつだって魅力的なんだろうしさ。メジャー・レイザーやらジャスティン・ビーバーやら、ドレイクやリアーナがやってるんで、またここ数年また盛り上がってきた印象なんだろうね。あとエド・シーランなんかも影響を感じさせる。さっきも話題に出たけど、アフロビートも。うん、だからまた盛り上がってきてるってことか。

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