原作著者ジョージ・R・R・マーティンが語る『ゲーム・オブ・スローンズ』の終焉

『氷と炎の歌』シリーズの著者、ジョージ・R・R・マーティン(Rich Polk/Getty Images)


ー姉妹の役を務めた2人の女優陣に関しては、どのように決まって行ったのでしょうか?

キャスティングディレクターのニナ・ゴールドに、おびただしい数の候補を伝えなくてはならなかった。特にアリアのキャスティングは、本当に難しかった。この番組では、アリアが非常に重要なポジションだから、怖さもあったんだ。僕は実際にキャスティングの現場にいたわけじゃないけど——ニューメキシコの家にいて、次の本を書いていたし——、ネットで共有はしていた。多分、100人くらいの候補者の映像を見たんじゃないかな。それから僕は 「もうダメだ。これじゃ誰も見つけられないよ」と根をあげそうになってしまった。この物語には、Sitcomで見るような、可愛くて、父親をネタに気の利いたジョークを言うような子が欲しいわけじゃない。大きなトラウマを乗り越えたような子が理想だったんだ。登場人物は死や戦争を目前にして、近しい人物が頭を切り落とされる現場を見なくてはいけない。すべての映像を見終わったとき、アリアに関しては、もうお手上げだった。でもメイジーの映像を見たとき、「やっと、アリアを見つけた!」と思ったんだ。話し方も、佇まいも、アリアの精神が宿っていた。信じられなかったよ。デイヴィッド[ベニオフ]とダン[ワイス]と僕は、「やっと彼女を見つけた。やった!花火をあげよう」と興奮したものだよ。

ソフィーもまた素晴らしくて——彼女の方は、もっと早くにキャスティングが決まったんだ。そして2人の撮影をくっつけて……つまり、ほぼ最初から、彼女たちは一緒に演じていたんだ。メイジーが初めてソフィーにあった時、母親に「まだ完全に理解しているか自信がないけど、今日会った子も同じ気持ちだといいな。だって、彼女は本当に素晴らしいもの」と伝えていたそうだよ。そしてYouTubeでは……どうやってオーディションのビデオを手に入れたのかわからないけど、現場が映っていて、誰かが編集していた。2人の息の会った掛け合いが、リアルなシーンを作り出していたんだ。すごいと思うよ。

ーサンサのストーリーは特に、本当は違った内容になっていますね。ラムジー・ボルトンとの結婚に関しては、原作と大きな相違があります。こうして内容に変更が加えられた時、どのように感じますか。ハリウッド作品に長く携わっているあなたでも、気持ちが揺さぶられることがあるのでしょうか。

それは複雑な心境になることもある。作品を、僕自身の書いた通りにして欲しいと思うか、と言うことだよね?もちろん、そう思う。でも逆の気持ちもあるんだ。僕は他の人の作品を仕事として受けることがあったし、原作者とは違う表現を取ったこともあるから……

いくつかの改変は、もちろん、僕が本を書くのが遅いから、という認識はあるんだ。本当は、本を数年前に終わらせていないといけなかったけど。そうしていたら、ドラマのストーリーもまた違ったかもしれない。でも、ストーリー、もしくは似たストーリーが2通りあったとしても、どんな世でも、それは受け入れられているよね。よく僕が使う例えなんだけど、君はスカーレット・オハラに何人子供がいたか知ってるかな?

ー確か、本と映画では違うんですよね。

本の中では3人。それぞれ父親が違う。映画では1人だ。そして現実では、スカーレット・オハラに子供はいない。なぜなら、彼女は実在しないのだから。マーガレット・ミッチェルが創作した人物だからね。本はあそこにあるよ。マーガレット・ミッチェル版の『風と共に去りぬ』と、デヴィッド・セルズニック版の『風と共に去りぬ』を比べてみるといい。両方とも、作品の根幹である、その精神に忠実だ。同じことが、『ゲーム・オブ・スローンズ』と『氷と炎の歌』でも起こると良いな、と思っているよ。

ー最終話については、どう思われましたか?

そうだな、複雑だね。実は僕は、少し悲しかったんだ。もっとシーズンを重ねて欲しかったしね。でも、理解しているよ。デイヴとダンは他のことをするんだろうし、役者も7年〜8年の契約になっているだろうから、他の仕事をする必要もあるんだろう。それで良いと思うよ。怒っていたりとか、そんなことは全然ないんだけど、ただ物悲しいな、と思うことはある。

ハリウッドの、こういうことって、少し不思議なんだけど……僕が、他のドラマ作品を手がけていたことは知っているよね?80年代の『トワイライト・ゾーン』とか、『美女と野獣』は3年以上もやっていたし……。そんな番組が終わってしまうときって、お話が長ければ長いほど、受け入れるのが難しくなるものなんだよ。周りは家族のような存在になって行く。関わっている人たちは、自分の人生の大きな部分に入り込んで来るからね。周りのみんなとは一緒に働くだけでなく、みんなで同じホテルに泊まって、週に5日くらい、毎日顔を合わせて。それがたまに、週7回になったりもする。そうすると、その周りのみんなが、自分の人生の一部のような感覚になるんだ。そして、そこでの関係性や友情は、とても、とても深く根付く。でもひとたび番組が終わると、みんな本当にバラバラになってしまう。『ゲーム・オブ・スローンズ』に関していえば、8シーズンのお話で、特にスターク姉妹は10年に渡って一緒にいたんだ。彼女たちはともに成長した。本当の姉妹のようだったし、二人の間には、脚本以上の何かが生まれていたと思うよ。そして彼女たちが築き上げた友情は、決して壊れることのないものなんじゃないかな。

Translated by Leyna Shibuya

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