キング・クリムゾン50周年記者会見で明らかになった15の事実

バンドリーダーのロバート・フリップ(前列左)による4時間のインタビューを含む、キング・クリムゾンのプレスイベントからハイライトを紹介(Photo by Dean Stockings)


メディア嫌いを公言するフリップに対し、どのような展開が待っているかわからなかった。しかし「勝手にやらせてもらう」と冒頭で述べた彼だが、驚くことにこの日は饒舌で自発的に話していた。インタビュー好きでない人間と比較すると、彼はものすごいお喋りだった。

何の制限も無いようだった。フリップは何を質問されようがずっと忍耐強く穏やかで、どんな質問に対しても積極的に答えた。現在の編成に3人のドラマーを採用した理由を聞いた質問者に対し、質問者がDrumhead誌から来たことを知ったフリップは、「でも私はギタリストだ」と返す。また最近注目している音楽について聞かれると、フリップは韓国の作曲家チン・ウンスクを挙げ、彼女の音楽は刺激的な方法で「自分の考え方を覆した」と表現した。

そこから、参加していた数少ない女性ライターのひとりが「キング・クリムゾンは“男ばかり”」と言えばフリップは「私もそう思う」と応じ、ラインナップに女性を加える可能性については「私はどのようなアイディアも受け入れる」と述べた。この発言は、例えば1980年のインストゥルメンタル・ダンス・バンド=ザ・リーグ・オブ・ジェントルメンに女性ベーシストのサラ・リーを採用したことや、ブロンディやザ・ローチェスなどクリムゾン以外のコラボレーションによっても裏付けられる。しかしフリップは、メンバーを決める際に性別を意識していない。その時に組むバンドのヴィジョンに必要な人間を選択しているのだ。また、キング・クリムゾンによる新たなスタジオ・アルバム製作に関する質問には明確に答えなかったものの、フリップは既に多くのマテリアルを揃えているという。当日はさらに、シュールなシャッターチャンスも何度かあり、フリップが自分のカメラのレンズをオーディエンスへ向けると、多くのスマホ・カメラのシャッターが切られた。

耳に心地よいイギリス西部訛りで愛想良く丁寧に話すフリップは、ドキュメンタリーの素晴らしいナレーターにもなれそうだ。彼はまた生まれながらの劇作家で、例えば、ある日本のプレスエージェントが彼のことを“プログレッシブ・ロックのヨーダ”と呼んだことを思い返して深い溜息と共に憤りを表現したり、ベーシスト&ヴォーカリストのジョン・ウェットン、ヴァイオリニストのデヴィッド・クロス、ドラマーのビル・ブルーフォードによる1973〜1974年の有名なラインナップによるインプロビゼーションについて論じながら大げさに息を吐き出して畏敬の念を起こさせたりした。また、「プログレッシブ・ロックの池に浮かぶ藻が皆をがっかりさせようとしている」という90年代半ばにとあるライターが当時のバンドを表現したフレーズを引用し、なんども繰り返し口にしながら、嬉しそうに目をキラリとさせてニヤリと笑う。フリップはこのフレーズを、皮肉を込めたスローガンとしてよく使っている。おそらく最も印象的だったのは、彼が感情を素直に表したということ。間違いなく参加者の誰も、伝説のミュージシャンが、1981年に経験した“音楽を通じて生まれた、言葉で表せない博愛”について話しながら涙をこらえる姿など想像もしなかっただろう。

つまり今回のイベントは、ただのツアープロモーションではなかったということだ。ロック界で最もユニークでウィットに富む頑固な人間の心の内を垣間見るチャンスだった。

当日明かされた事実の中には、単純な告知もあった。例えば2019年のツアーには、フリップの長年のコラボレーターであるビル・リーフリンに代わって一時的にセオ・トラヴィスがキーボードを弾くことや、クリムゾンのマネジャーを務めるデヴィッド・シングルトンが午後のプレゼンで明らかにしたように、バンドのフルアルバムに収録される楽曲が6月にスタートするツアーに合わせてSpotifyをはじめとする各ストリーミングサービスで配信される等。以下に、当日明らかになったより深い15の事実を紹介しよう。

Translated by Smokva Tokyo

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