妹沢:ちなみに今回のアルバムのポイントとして、エズラがまず挙げたのが「ソングライティング」で、次が「ギター」だったんですよ。こんなに楽しくギターを弾いたのは久しぶりで、エズラいわく、自分はヘソ曲がりなところがあるから、世の中が「ギターって格好悪いんじゃないの?」っていうモードになってきてるから、あれ、でもギターってそんな悪いものじゃないよねというところで、僕は今回はギターを弾いてみようと思った、と。
後藤:いやー、それねー、いい! 素晴らしいですね!
妹沢:(笑)。
後藤:最近、音楽のストリーミング・サービスなんかで一番飛ばされる瞬間って、ギターが鳴った時らしいんです。どこでみんながそのアルバムを離脱したかが、データでわかるらしくて。ギターが鳴った時に、特に若い子たちが、次の曲にスキップすることが多いっていう話を聞いて、すげぇショックだなと思って。僕は、ギターだけ弾いてここまで来ちゃったから。
妹沢:確かに(笑)。
Photo by Kayoko Yamamoto後藤:そういう意味でも今作は良いですよね。1曲目からギターが色々動いたりとかして、すごく楽しい。今流れているこの「ディス・ライフ」のギターも、ヴァンパイア・ウィークエンドのままなんですよね。でもなんだろう、なんかちゃんと新しい音になってる。新しいミックスのされ方で。
妹沢:新たな地点ですね、彼らにとっては。
後藤:うん、だからそれはやっぱりサウンドデザインなんだなと思って。スタジオ見学したいぐらいです。
妹沢:(笑)アリエル・レヒトシェイドの自宅スタジオで録音してますね、今回。
後藤:そうそう、見てみたい。うん。やっぱり向こうはね、文化がありますから。
妹沢:アリエルと1年ぐらいかけて作り上げていったみたいですから、エズラは空気を感じながら作るそういう方法が好きなのかもしれませんね。
後藤:うん。あとミックスエンジニアとかは、向こうの人たちはアーティスティックですよね。アリエルはコンポーザーですから、作曲もして、自分も元々バンドマンでエンジニアもやる。日本だと主に録音とかのメカニカルなことをやるっていう役割が強かったりするんです。だからその辺は、うらやましいなと。アメリカ人とかと仕事すると、すごく凝ってるというか気にするところと、めちゃくちゃ気にしないところのラインが不思議なんです。