「あいつを壊す」と語ったカルト集団指導者、女性差別の実態を元側近が証言

自分がグループに関与していたことをどう思うか、という検察側の質問に対し、ヴィンセント氏はいったん言葉を切って、大きく深呼吸してからこう答えた。「とても後悔しています」と言う声はかすかに震えていた。「このようなおぞましい、忌まわしい女性差別を行っていたことに、自分でも心底動揺しています」。そのあと彼は、ネクセウムが自分同様、女性メンバーにもこの先もずっと続く爪跡を残したと述べ、それを「抜け殻」と表現した。「自分たちの中の何かが失われてしまったのです」

ヴィンセント氏が警戒し始めたきっかけのひとつは、減量やダイエットに対するネクセウムの強いこだわりだった。ヴィンセント氏が言うには、2015年ごろから「多くの女性たちが針金のように細くなっていくのを目にするようになりました。肌はまるで透けて見えそうなほどでした」。こうした女性の大半は、常にキュウリやカボチャなど1種類の食品しか口にしていなかったという。一部の女性メンバーがヴィンセント氏に語ったところでは、罰として1日の食事を500キロカロリー、時には300キロカロリーにまで制限されることもあったという。「何かがおかしい、と思いました」とヴィンセント氏は証言で述べた。

彼もっとも気にかけていたのは、元『ヤング・スーパーマン』の女優で、ネクセウムの側近でもあったアリソン・マック被告だった(4月に恐喝罪および恐喝共謀罪で有罪を認めた)。ある時期マック被告が急激に痩せたので、ヴィンセント氏はラニエール被告のところへ相談に行き、マック被告が「いまにも壊れそうだ」と伝えた、と証言した。

ヴィンセント氏によれば、ラニエール氏はさらりと返したという。「『私はあいつを壊そうとしているんだよ』と彼は言ったのです」

Translated by Akiko Kato

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