2019年のホープ、miletが一人にこだわる理由「孤独を知らない音楽は信用できない」


―3曲めの「航海前夜」はどうでしょう?


首都医校・大阪医専・名古屋医専の新入生を募集するためのCMソングを書き下ろしたもので。新しい一歩を踏み出したい人の背中を押す、前向きになれるような曲を作ってみようと。ちなみに、この曲も“一人”がテーマで、「こんな場所で一人きりでも」という歌詞もあったりして。この次の「Undone」でも「一人きりで」と歌っているし、気がつくとそういうフレーズが入ってるんですよ。どれだけ一人なんだって感じですけど(笑)。 

―でも、孤独を知らない表現なんて共感しようがないじゃないですか。

本当にそう! そんな音楽、私は信用できないですよ。この「航海前夜」で伝えたかったのは、他人と違う道であろうと、自分の信じる道を進もう、その選択は間違っていないということで。私もそうしてきたし、それなら失敗しても納得できるから、という思いを込めて作りました。



―4曲めの「Undone」は?

この曲は、作った記憶もないくらい一瞬で出来上がったんですよね(笑)。音的に静かなところから始まる曲を作りたくて、もともとピアノ一本で作ってたもので、その名残りがイントロにありますね。そこからビートが効いてきて、ミドルテンポなんだけど、低い声でしっかり歌いたいなと思って。ここまで出発の曲が並んできたなかで、「Undone」は終わりと始まりをくっつけたような曲で、「終わったあとも進んでいく」みたいなニュアンスを意識して歌詞を書きました。

―作曲するときは、主にどんなものを使っているんですか?

PCのソフトを使って作るときもありますけど、基本的にはピアノかギターでデモを作って、必要に応じて打ち込みを重ねていく感じですね。いろいろ考えながら曲を作るというよりは、弾きながら出てくるものを自然に引き出していくイメージです。



―何かしらの曲やメロディーに影響を受けたり、参照しながら曲作りすることもあります?

私は世界観でいうとベートーヴェンが好きで、それはもう自分のなかに染み込んでるものだと思うんですけど、誰かに似るっていうのがあまり好きではなくて。(制作中は)あえて何も聴かないことが多いし、似せようとも思わないですね。

―好きなシンガーは?

たくさんいますよ。とにかく好きなのはクリスピアン・ミルズ。

―またクーラ・シェイカーじゃないですか(笑)。自分の歌い方に影響を与えた人でいうと?

それはいないですね。自分で探っていくうちに見つけたものなので。昔はもっと特徴のない歌い方だったんですけど、自分のなかで心地よさを求めていくうち、一番気持ちよく歌えるようになったのが今のスタイルなので。もちろん、昔はありました。salyuさんの歌い方に憧れたり、ブリトニー・スピアーズを意識したりとか。でも、私は私らしく歌おうと考えるようになってから歌い方も変わりましたし、それからは他人を意識しなくなりましたね。

―話を戻すと、最後の「THE SHOW」は『バースデー・ワンダーランド』のメインテーマで、オーストラリアの歌手・レンカが2008年に発表したヒット曲を日本語詞でカバーしています。

これは原監督からの提案ですね。監督の歌詞案を落とし込みながら、韻を踏んだり言葉のリズムを詰めていって、最終的にとてもいいカバーになったと思います。洋楽の日本語詞バージョンってそんなにしっくりくるものがないし、参考曲を探そうにも見当たらないので心配だったんですけど、大尊敬している原監督との共作というのもあって、すごく愛を詰め込むことができました。

―原曲のファンシーな響きや歌のリズムと、子供ならではの視点をもった日本語詞が共存していて、それを童謡みたいなキャッチーさで歌い上げているのが素晴らしいなと。原曲もこんな歌詞でしたっけ?

いや、少しアレンジされています。ブラッド・ピッドの映画『マネーボール』の劇中で、主人公の娘さんがあまり上手くないギターを弾きながらこの曲を歌っているんですけど、そのニュアンスがほしいと監督に言われて。アカネちゃんも彼女と同じで、大人になりきれてない女の子なので。その目線で歌ってほしかったみたいです。私もその考えはすごく理解できたし、おかげで歌詞にも取り組みやすかったです。

―原曲にはないチャイルディッシュな歌い方やムードには、そういう背景があったんですね。

そうそう。「Wonderland」や「THE SHOW」はアカネちゃんの目線で歌うことができて、ある意味で別人を演じていたような感じも楽しかったですね。




―この『Wonderland EP』を通じて、夢も叶えつつ音作りのチャレンジも実践できたと思いますが、これから自分の世界をどんなふうに広げていきたいですか? 今回のようにオファーを受けて音楽を膨らませていくのもシンガー・ソングライターの在り方として正しいと思いますし、その一方で自分の作家性をより掘り下げていく道もあると思いますが。

いわゆるタイアップをいただいて作る歌と、自分のなかからフロムスクラッチで作る歌って、作り方もまったく違いますよね。絵に喩えるなら、額縁や紙の大きさ、使える色まで決まっているのが前者、真っ白なキャンパスで好きな色で描いていいというのが後者だと思うんですけど。今はその両方に取り組むことで、私らしさが顕著に出せるのかなと思っていて。あと、今回の「Wonderland」や「THE SHOW」は、今まで作ってきた打ち込み主体の曲とが違う、オーケストラや生音を活かした曲ですよね。それに、これまでは英語と日本語を織り交ぜてきたなかで、この2曲は日本語オンリーだから、そういう意味でもどんなふうに受け止められるのか気になっていたんです。

―反響はどうでした?

「Wonderland」のビデオを公開したとき、「やっぱりmiletだ」って感想を聞いてよかったなって。“私らしさ”は自分ではよくわかってないけど、それこそ聴いてくれる人がわかってくれれば、私はただ作って歌うだけだなって思いますね。



milet
『Wonderland EP』
発売中

初回生産限定盤(CD+DVD) 価格:¥1,700+税
通常盤 価格:¥1,400+税
期間生産限定盤(CD+DVD) 価格:¥1,700+税

M1「Wonderland」
※映画『バースデー・ワンダーランド』挿入歌・イメージソング
M2「Runway」
M3「航海前夜」
※専門学校 首都医校・大阪医専・名古屋医専 CMソング
※TBS系テレビ「CDTV」4月・5月オープニングテーマ
M4「Undone」
M5「THE SHOW」
※映画『バースデー・ワンダーランド』テーマソング


milet『Wonderland EP』初回生産限定盤


milet『Wonderland EP』通常盤


milet『Wonderland EP』期間生産限定盤

〈イベント情報〉
milet SPECIAL SHOW CASE Vol.2

日時:2019年6月11日(火) 
会場:Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE
招待数:各公演300名様

1st STAGE Open18:30/Start19:00
2nd STAGE Open20:30/Start21:00

※各回30分ほどを予定
※ご入場時に別途ドリンク代(¥600)
詳細:http://www.milet.jp/news/archive/?505836

公式サイト:http://www.milet.jp/

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