「憎悪で金儲けする悪徳集団」と批判も 民主党候補者はFOXニュース出演を断るべきか?

2019年5月3日、アイオワ州エイムズで開かれた決起集会で、地元住民に演説するエリザベス・ウォーレン米上院議員(Photo by Charlie Neibergall/AP/REX/Shutterstock)

アメリカ時間15日、2020年の米大統領選の出馬を表明しているエリザベス・ウォーレン上院議員(マサチューセッツ州、民主党代表)は、FOXニュースからのタウンホールミーティング出演依頼を辞退したと発表した。

議員はその理由についてTwitterのスレッドで説明し、同ネットワークを「憎悪で金儲けをする悪徳集団」と呼んだ上で、「何百万人もの民主党予備選挙の有権者に、人種差別や憎悪で利益を得るような局にチャンネルを合わせてほしくないからだ」と述べた。

FOXニュースが広告収入を失うきっかけとなった報道監視団体Media Mattersは、ウォーレン議員の決断を称賛した。

「指導者、とりわけ民主党の指導者というものは、多くの大企業がFOXニュースの過激思想や偏見と袂をを分かち、拒絶したのと同じように、少なくとも一線を引こうとするべきだ」と、同団体のアンジェロ・カルーゾーン会長は声明を発表した。「何はなくとも、『戻ってきても大丈夫ですよ』と広告主を言いくるめようとするFOXニュースにタウンホールの開催を認めて、彼らの責任逃れに加担するようなことは断じてあってはなりません。私も、幅広い層の有権者とコミュニケーションをとる必要性は十分理解しています。ですが、他にも保守派の人々に訴える方法はある。なにもFOXニュースの偏見や虚言を助長する必要はありません」

すべての民主党候補者がウォーレン議員と同意見だとは限らない。同じく革新派のバーニー・サンダース議員は、先月行われたFOX主催のタウンホールミーティングに出演した。無所属のサンダース議員は、司会のブレッド・バイアー氏とマーサ・マッカラム氏の攻撃を見事に交わし、観客席からは終始喝采が起こった。彼の出演はトランプ大統領の逆鱗にもふれたらしく、大統領はバイアー氏をこき下ろしたうえでFOXニュースを非難した。2020年の大統領選予備選挙のタウンホールとしては史上最高の視聴率を記録し、サンダース議員目当てに全米で250万人がチャンネルを合わせた。FOXニュースはワシントンポスト紙に全面広告まで掲載して、高視聴率を喧伝した。



サンダース議員は4月上旬にTV場組『ザ・デイリー・ショウ』に出演し、タウンホールミーティングの出演についてこう弁明した。「私にとっては、FOXニュースと何百万人ものFOXニュース視聴者を区別することが重要なのです」と本人。「トランプ大統領の支持者に呼びかけ、大統領が選挙期間中にこの国の労働者階級をどれほど騙し、どれほど嘘を重ねてきたかを伝えることが重要だと思います」

サンダース議員のタウンホールミーティングを受け、他の主要な民主党候補者の中にはFOX出演に興味を示した者もいた。エイミー・クローブシャー上院議員(ミネソタ州、民主党代表)は先週同じようなタウンホールミーティングに出演し、サウス・ベンド市のピート・ブーティジェッジ市長とカーステン・ギリブランド上院議員(ニューヨーク州民主党代表)もともに出演を予定している。エリック・スウォルウェル下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、ティム・ライアン下院議員(オハイオ州選出、民主党)、ジュリアン・カストロ下院議員(テキサス州選出、民主党)らも、実際の出演交渉はまだにしても、出演への関心を表明している。アンドリュー・ヤン氏はサンダース議員出演の当日、Twitterに自ら名乗りを上げた。「それほど価値があるのなら、私も喜んで、FOXニュースでもMSNBCでもタウンホールをやりましょう」とツイートした。「または、大勢のアメリカ国民と向き合うことができる媒体ならどんなものでも構いません。大切なのは、できるだけ多くの国民と向き合うことです」

Translated by Akiko Kato

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